研究課題/領域番号 |
23500556
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森田 圭紀 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (60420460)
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キーワード | MR内視鏡 / 管腔内コイル |
研究概要 |
本研究では、より安全で確実な内視鏡治療を行うために、計測量の多様性・空間領域の任意選択性・軟部組織の高コントラストや無被曝性などの優れた特徴を持つMRIと粘膜表層の情報採取に長けた軟性内視鏡による画像を融合させた新たな診断技術として「MR内視鏡システム」の開発を進めている。これまでの成果では、小型の管腔内RF(RadioFrequency)コイルを作製し、ブタ生体の胃、直腸における壁構造及び壁内血管走行像を描出することが可能であった。しかしながら、管腔内へのRFコイル挿入からMR撮像までには数分の時間を要していたため、その時間短縮を目的に研究を進めた。 実験にはGE 製1.5T-MRI(Signa EXCITE TwinSpeed)、MR 対応内視鏡(XGIF-MR30C、オリンパス)、位置・姿勢検出のための勾配磁場センサ(EndoSCOUT, Robin Medical Inc.)、及び開発したRFコイルとナビゲーションソフトウェアを使用した。また観察対象にはブタ摘出胃及び生体胃を用い、以下の手順で実験を行った。カテーテル型勾配磁場センサを内視鏡先端に固定し、胃内部に設置した腔内RFコイル面の異なる3か所に近づけ、各座標を検出後、この3点の座標からRFコイルの重心座標を計算し、RFコイルでMR撮像する座標に設定する。ナビゲーションソフトウェアはTCP/IP 通信で勾配磁場センサデータを応答速度63msで取得し、3点座標を認識後にRFコイル重心座標を算出する。 結果として、摘出胃においては、約40秒で撮像可能となったが、生体胃ではMR対応内視鏡の操作性が不良で、正確な設定が行えなかった。 しかしながら、この時間短縮は、患者負担の軽減や検査の確実性向上に有用と考える。今後は、さらなる内視鏡操作性向上の対策を、RFコイル特性の遠隔調整法やRFコイル姿勢制御法などと共に検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
管腔内RF(Radio Frequency)コイルの開発および、MR撮像については、(財)先端医療センターおよび(財)神戸国際医療交流財団の協力を得ているが、コイルの小型化及び最適形状の決定については開発・改良が遅れている。撮像対象への最適なデリバリー方法(固定)についても引き続き検討中である。 また、生体臓器での撮像時間短縮についてもさらなる検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
RFコイル特性の遠隔調整機能の構築、コイル姿勢制御法の確立、コイルのさらなる小型化と適正化および、MR対応内視鏡の操作性の改良について、引き続き研究を重ねる。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記で述べたように、コイルの開発が予定より遅れているため、研究費を有効活用するために、平成24年度の研究費と併せて使用予定である。主に施設使用費、消耗品としての動物購入費、学会参加・発表の旅費に使用予定である。
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