研究課題/領域番号 |
23500559
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
猶原 隆 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (50093935)
|
研究分担者 |
渡部 祐司 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20210958)
前原 常弘 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (40274302)
|
キーワード | 癌治療 / 焼灼療法 / 交流磁場誘導法 / 生体等価ファントム / 焼灼用磁性体針 / 熱伝達シミュレーション / ハイパーサーミア |
研究概要 |
今年度は、助成事業期間の最終年度に当たるため、チタン被覆磁性体針の試作、生体等価ファントム(模擬生体)実験、さらに熱伝達シミュレーション解析などの各項目について、追加の実験と解析を実施した。合わせて、これまでの研究成果を取り纏めて、平成25年5月にイタリア・パドヴァで開催された下記の国際会議において研究発表を行った。 International Conference on Heating by Electromagnetic Sources (HES-13) この国際会議に参加した多くの国外の研究者との討議によって、関連分野の最新の研究動向を把握するとともに、今後の研究の進展に不可欠な多くの情報を入手することができた。 昨年度までの研究により、磁束方向に対する無方向の発熱特性を有するチタン被覆強磁性体針の試作に成功した。一般に、金属強磁性体針を交流磁場発生用コイル中に置くと、その磁束方向との角度によって発熱特性が著しく変化する。この現象は『形状磁気異方性』と呼ばれており、その効果の低減なくして臨床応用は困難であるが、その影響を低減させることが可能となった。すなわち、焼灼用磁性体針の刺入角度が著しく異なっても、ほぼ一定の発熱曲線を得ることができた。この研究成果は、交流磁場強度と周波数を設定すれば、穿刺角度の影響を受けることなく、焼灼温度の把握と制御が実現されることを意味する。 さらに、シミュレーション解析の手法を確立したため、焼灼用磁性体針から生体等価ファントム(模擬生体)への熱伝達挙動を視覚的に捉えることが可能となった。これにより、舌腫瘍の大きさや分布状況に対応して、焼灼用磁性体針の穿刺本数、あるいは穿刺間隔を視覚的にイメージできるようになった。本研究の推進により、今後の臨床応用に向けての二つの課題を克服することができた。
|