重度起立性低血圧治療のため、腹筋を電気刺激することにより連続的に収縮させ、血圧を制御する方法を着想した。そこで、三年間の実験的臨床研究により、「腹筋電気刺激によるフィードバック血圧制御装置」の開発を行う。平成25年度は平成23-24年度の成果を基に、腹筋刺激による血圧制御効果を高めるための検討を行った。 「腹筋電気刺激によるフィードバック血圧制御装置」の制御システムは完成し、装置の強度の問題は、上記で解決することができた。しかし、実際患者に応用すると、腹筋刺激だけでは血圧の維持が不十分であった。これは、臥位での腹筋刺激では血圧がコントロールできるが、立位負荷での下肢静脈への血液プールが増加することにより、腹部・上半身の血流量が低下するためと考えられた。よって、刺激中に下肢圧迫をすることで、より効果的な血圧コントロールが可能であると考えられ、装置の有効性を高めるため、下肢圧迫帯の開発を行った。下肢圧迫は、従来のショックパンツでは加圧時に歩行が不可能であるので、ジェット戦闘機パイロットが装着する耐Gスーツの下肢部を改変し、さらに可変圧を入力できる装置の検討も行った。 耐Gスーツの改変:藤倉航装と共同研究を行った。気のうの形状と装着仕様を改変した。現在の気のうは腹部下肢一体型であり、下肢部は前面を覆うような形状となっている。また、装着仕様も紐型であり、装着に時間がかかるため、これらを短時間で装着でき、効率的、効果的に圧迫できる形状に改変した。 空圧制御装置の開発:東京航空計器共同研究を行った。血圧に追従した空圧を供給できる空圧制御装置の設計中である。
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