研究課題/領域番号 |
23500565
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
尾原 秀明 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20276265)
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キーワード | ステント / 低侵襲治療 / 外部エネルギー |
研究概要 |
本研究の目的は、現在のステントの主流である金属性ステントに超高性能高周波磁界発生装置による磁場や超音波などの外部エネルギーを加えることにより熱やフリーラジカルを発生させ、血管平滑筋細胞の増殖を抑制し、外来などで簡便に繰り返し実施できる低侵襲なステント内再狭窄の予防方法を開発することである。原子が超音波などを受けて励起され、ペアの一方の電子が失われると、他者と反応を起こしやすい分子や原子になる。このようになった分子や原子をフリーラジカル(遊離基)と呼び、強い酸化作用で細胞障害性を有する。二酸化チタンに超音波を照射することでフリーラジカルが発生することが知られている。 本年度は末梢動脈疾患治療の主流であるニッケルチタン合金(ナイチノール)に磁場や超音波を照射し、熱あるいはフリーラジカルの発生を測定した。超高性能高周波磁界発生装置による磁場照射では、有意な熱の発生を確認することはできなかった。一方、超音波照射では、フリーラジカル発生が認められた。超音波によるフリーラジカルの発生の検討は、約2cm角のナイチノール金属片を10μM Aminophenyl Fluorescein(APF)とともにシャーレ内に入れ、1MHz超音波を30秒間照射した際のAPFの蛍光強度を測定することにより行った。 動物モデルでは、遺伝性高脂血症を呈し動脈硬化が誘導されるWHHLMIウサギの大動脈をフォガティーカテーテルで擦過し、2週間後に大動脈を観察したところ強度の狭窄が確認された。ウサギ頸動脈アプローチによるステント留置モデルを完成させた。擦過後2週間目にナイチノールステントを挿入し、1カ月後の大動脈を採取、樹脂包埋切片を作製しての検討では、未だ再狭窄は見られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデル作製は完成し、フリーラジカルの発生も確認された。ヒト用のステントはウサギの大動脈においてでさえも若干オーバーサイズであったため、特注のステントを要する。
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今後の研究の推進方策 |
特注ステントはすでに購入済みであるので、このステントを用いてのモデル作製、さらに治療実験を行う。樹脂包埋標本を作製し、評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物飼育費、標本作製費、試薬・消耗品費、成果発表旅費として使用予定である。
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