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2011 年度 実施状況報告書

超音波を利用した非侵襲的な脳内への薬物デリバリー技術の構築

研究課題

研究課題/領域番号 23500567
研究機関帝京大学

研究代表者

鈴木 亮  帝京大学, 薬学部, 准教授 (90384784)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードドラッグデリバリーシステム
研究概要

本研究の目的は、バブルリポソームと超音波照射の併用による脳内への薬物・遺伝子デリバリー法を確立することである。そのなかで、本年度はバブルリポソームと超音波照射の併用での脳組織に対する傷害性評価と傷害性の低い超音波照射条件の検討を行った。まずはじめに、脳組織への傷害性を評価するため、マウス尾静脈よりバブルリポソームを投与し、その後経頭蓋的に超音波を脳に向けて照射した。超音波による組織傷害性は超音波照射強度および時間に依存することが知られているため、それらのパラメーターをふって検討を行った。その結果、超音波照射強度 1.2W/cm2 、超音波照射時間 1分が脳傷害を誘導しない上限の超音波照射条件であることが明らかとなった。そこで、この超音波照射条件での脳内への遺伝子デリバリーについて検討した。マウス尾静脈からルシフェラーゼ発現プラスミドDNAとバブルリポソームを全身投与し、その後脳に向けて経頭蓋的に超音波照射した。1日後、脳を回収しルシフェラーゼ活性の測定を行った。その結果、脳において高いルシフェラーゼ発現が観察された。なお、このとき超音波照射していない他の組織のルシフェラーゼ活性も測定したが、肝臓、腎臓、心臓、脾臓、肺などの超音波照射していない組織のルシフェラーゼ活性は低レベルであった。このことから、本方法が脳傷害を誘導せずに低侵襲的に脳内に遺伝子を導入可能な非常にユニークな方法であることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の計画では、脳傷害性が低く遺伝子導入可能な超音波照射条件の検討であり、目的をほぼ達成できたものと考えている。

今後の研究の推進方策

これまでに得られた超音波照射条件などの結果を基にして、バブルリポソームと超音波照射の併用による脳内への遺伝子導入特性や血液―脳関門の透過性亢進の可能性などを評価する。特に遺伝子導入特性では、どのような細胞種に細胞が導入されているのかを検討する。また、透過性亢進に関する研究では、分子量依存性などの評価を通じて薬物の脳内デリバリーへの応用の可能性を模索する。さらに、利用しているバブルリポソームの安定性評価や製剤化に向けた検討を行っていく

次年度の研究費の使用計画

本年度、バブルリポソームの凍結乾燥製剤化のための基礎検討を行うため、バイアル凍結乾燥機を購入する予定であった。しかし、大学移転のために実験を一時的に止めざるを得なくなった。また、移転前に本機を導入しても移転費用化必要となってしまうため、次年度に購入することとし、その残金を次年度に繰り越すこととした。次年度はバイアル凍結乾燥機を購入し、バブルリポソームの凍結乾燥化に関する研究を進める。また、そのための試薬など消耗品を購入する。また、当該研究分野の最新情報の収集および意見交換のため、関連学会で研究成果を公表する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Involvement of activated transcriptional process in efficient gene transfection using unmodified and mannose-modified bubble lipoplexes with ultrasound exposure2011

    • 著者名/発表者名
      Un K, Kawakami S, Higuchi Y, Suzuki R, Maruyama K, Yamashita F, Hashida M
    • 雑誌名

      J Control Release

      巻: 156 ページ: 355-363

    • DOI

      10.1016/j.jconrel.2011.06.040

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A facile preparation method of a PFC-containing nano-sized emulsion for theranostics of solid tumors2011

    • 著者名/発表者名
      Shiraishi K, Endoh R, Furuhata H, Nishihara M, Suzuki R, Maruyama K, Oda Y, Jo J, Tabata Y, Yamamoto J, Yokoyama M
    • 雑誌名

      Int J Pharm

      巻: 421 ページ: 379-387

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of novel nucleic acid-loaded Bubble liposomes using cholesterol-conjugated siRNA2011

    • 著者名/発表者名
      Negishi Y, Endo-Takahashi Y, Ishii K, Suzuki R, Oguri Y, Murakami T, Maruyama K, Aramaki Y.
    • 雑誌名

      J Drug Target

      巻: 19 ページ: 830-836

    • 査読あり
  • [学会発表] The Combination Therapy of Therapeutic Ultrasound and Dendritic Cell-Based Immunotherapy2011

    • 著者名/発表者名
      Ryo Suzuki, Yusuke Oda, Keiichi Hirata, Naoki Utoguchi, Kazuo Maruyama
    • 学会等名
      WFUMB2011
    • 発表場所
      ウィーン(オーストリア)
    • 年月日
      2011年8月26-29日
  • [学会発表] Cancer Immunotherapy Utilized Ultrasound Sensitive Liposomes (Bubble Liposomes)2011

    • 著者名/発表者名
      Ryo Suzuki, Yusuke Oda, Naoki Utoguchi, Kazuo Maruyama
    • 学会等名
      FIP Pharmaceutical Sciences World Congress (PSWC2010)(招待講演)
    • 発表場所
      ニューオリンズ(米国)
    • 年月日
      2011年11月14-18日
  • [学会発表] Development of an effective gene delivery system with sonoporation in cancer gene therapy2011

    • 著者名/発表者名
      Ryo Suzuki, Yusuke Oda, Keiichi Hirata, Tetsuya Nomura, Yoichi Negishi, Naoki Utoguchi, Kazuo Maruyama
    • 学会等名
      AAPS2011
    • 発表場所
      ワシントンDC(米国)
    • 年月日
      2011年10月23-27日

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公開日: 2013-07-10  

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