研究課題/領域番号 |
23500573
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
久米 恵一郎 産業医科大学, 医学部, 准教授 (20320351)
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キーワード | 軟性内視鏡操作支援ロボット / 遠隔操作 |
研究概要 |
オートメーション化を目指した内視鏡ロボットの開発を目的に、前年度は1号機の問題点を解決した内視鏡スコープの着脱を可能にした機構を取り入れた2号機を開発した。これは臨床応用した際の緊急時に従来の用手的な操作を可能にするためのもであるが、臨床応用の観点から本ロボットを再検討すると、内視鏡は軟性鏡であるため、消化管、特に複雑に屈曲する大腸に挿入する軟性鏡の操作は、挿入される消化管からの反力とスコープ自体のしなりを合わせた感覚を前提に行っていることを考慮しなければならない。そこで、その反力とスコープのしなりをマスタ側でも感じ取れるよう双方向の力覚フィードバック機能をロボットへの搭載を先行させることが必要と判断し、同機能を搭載した3号機の開発に着手した。24.5年度で内視鏡の挿入方向および回旋に関して双方向力覚フィードバック型マスタスレーブ駆動を行なうことを計画した。スレーブ装置は送り駆動部位と回旋駆動部位、および軟性内視鏡の座屈防止ステイにより構成される。マスタデバイスは片手で操作可能としながら直感的な入力が行える構成としてロードセルを配置したリニア駆動ステージの上にトルク提示可能なノブ状の回転部位を設ける構成とした。本年度は、内視鏡挿入操作の挿脱方向を担当する1軸に、双方向の力覚フィードバック機能を搭載できた。本システムでは、力覚を感じながら挿脱方向にスライド可能なマスタデバイスのハンドルを握り、ハンドルを回転させることで回旋動作が可能な2軸のマスタスレーブ型ロボットにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オートメーション化という当初の目的に対しては遅れているが、研究途上で臨床応用に必須の力覚フィードバック機能の搭載という、より現実的な機構に行き着き、その搭載を実現する3号機の開発に着手した。基礎的なオートメーション化より、臨床応用を可能にする観点から力覚フィードバック機能をマスタスレーブ型ロボットに搭載することに計画変更し、その実現を視野に捉えた。
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今後の研究の推進方策 |
3号機は、挿脱・回旋の2軸での双方向力覚フィードバック型マスタスレーブ駆動を計画したが、挿脱の1軸の振動制御と力覚の閾値の調整中に、ロードセル等が破損して、資金不足により研究の進行が停止した。1度は挿脱1軸のみの双方向力覚フィードバックが実現できたが、より高感度にするための調整中に破綻した。そこで、まず本年度中に3号機の2軸の双方向力覚フィードバック型マスタスレーブ駆動を目指す。現行システムでは挿脱方向のスライダはシャフト2本とリニアブッシュを用いているが、この構成では回旋方向の剛性が低く双方向制御では振動の発生等不安定になりやすいことが分かった。ここをリニアスライダ並びにリニアモータ化し、より明確な進退及び回旋方向の力覚を提示するシステムとして再構築することをまず考えている。剛性・安定性の獲得のための再構築を繰り返す。 また、可能な範囲で、専用の鉗子装置及びその捜査支援装置の開発も進行させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
モータ・アクチュエータ・センサー等の消耗品が、中心となる。
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