研究課題/領域番号 |
23500577
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
福島 順子 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 特任教授 (40208939)
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キーワード | イメージトレーニング / 運動療法 / 片麻痺 / 視覚刺激 / 座位バランス / 機能的磁気共鳴脳画像 / fMRI |
研究概要 |
近年イメージトレーニングが片麻痺患者のリハビリテーションに用いられるようになってきた。しかし、イメージングを患者が実際に行っているかどうかを他覚的に判断することは難しい。そこで、本研究ではイメージング中に視覚刺激とイメージング後にフィードバックとして繰り返し運動を行うことにより、患者がイメージングを有効に行っているかどうかを確認し、片麻痺のリハビリテーションに応用した。片麻痺患者のADLにおいて,座位バランスが良好であることが求められるので、良好な座位バランスの再獲得を目的に視覚的フィードバックとイメージング,運動を組み合わせた座位バランストレーニングを行い,片麻痺患者の座位バランスに対する効果を調べた。 脳血管障害による片麻痺患者24名を2群に分け、介入群には、椅子座位で写真を見ながらメトロノームに合わせて体幹前屈・側屈運動をイメージし,その後自ら身体を動かしてそれらの運動を実際に行い、トレーニング前後で介入群と非介入群との間で、また、右麻痺患者と左麻痺患者の間で比較した。 介入群と非介入群では、介入群において,経過日数が短いほど,またはBarthel Indexが高いほど前屈位の麻痺側座圧が増加したという相関があった。また、発症後経過日数が短いほど効果があった。 右片麻痺患者では,安静時の麻痺側座圧が増加し,麻痺側への側屈の運動角度は増加したが,左片麻痺患者に関しては,安静時の麻痺側座圧に変化はなく、前屈位の麻痺側座圧は減少し,運動角度に変化はなかった。健側への側屈の運動角度は増加し,麻痺側座圧は減少する傾向があった。従って、右片麻痺の方が左片麻痺よりも効果が顕著であった。この成果は、J.Physical Therapy Science誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
某病院に入院中,および介護老人保健施設に通所・入所中で理学療法を受けている脳卒中片麻痺患者24名とした。適合条件は,静的座位保持を背もたれなし,かつ自立して30秒以上可能であり、聴覚・言語理解良好,長谷川式簡易認知機能スケール20点以上,検査に協力的であることとした。予想した人数は確保できて、短期間でも一定の効果が見られたので、目的は達成できたと思われる。その成果の一部は、北海道理学療法学会、日本ニューロリハビリテーション学会にて発表し、J Physical Therapy Sciencesに論文発表を行った。 さらに、イメージトレーニングのみの効果を見ること確認するために,非介入群、イメージトレーニング+運動療法群の他に、運動療法のみを行う群を加えて3群で比較することが必要である。そのため、新たな症例で補足実験を行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
座位バランストレーニングの運動療法のみの群には前屈または側屈の運動を実際に行わせる。椅子座位にて座面に圧分布測定装置を設置し、座圧の分布は前方のコンピュータ・ディスプレイに表示され,被験者が確認できるようにする。安静時の座圧を確認し,圧が左右対称になるように被験者自身で修正させ、次にメトロノーム(速さ30bpm)に合わせて前屈運動,左右交互の側屈運動を行う。座圧,腰椎-骨盤の運動角度を記録する。座圧についてはストレンゲージを使用した圧分布測定装置(FSA4.0,タカノ社製 現有)を用いる。腰椎・骨盤の運動角度には3次元位置測定装置(3-Space ISOTRAK,Polhemus社製 現有)を第1腰椎と仙骨にセンサーを設置する。 イメージトレーニング+運動療法群、運動療法のみの群、非介入群の3群で足圧を、圧分布測定装置(FSA4.0,タカノ社製 現有)を用いて記録し、コンピューターディスプレイ上に表示させ,被験者が確認できるようにする。イメージトレーニング+運動療法群では、メトロノームに合わせて体幹前屈・側屈運動をイメージし,その後体を動かしてそれらの運動を実際に行う。運動療法のみの群では、運動のみを行い、3群間で比較する。 イメージトレーニングを行った群のうち可能な症例では、機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いて、イメージトレーニングを開始する前と終了後で賦活する脳部位を測定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度には、被験者に対する謝金が予定よりもわずかに少なくなったため、948円の残余を生じた。 この残金は、平成25年度に行う予定の補足実験と論文発表のための英文校閲料、投稿料、カラーチャージ、別刷代の一部にする予定である。
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