研究概要 |
本研究の目標は大脳・延髄ネットワークを介した治療法の確立を目的とするものであり、3年間で臨床治験への基礎的データを得ることができた。研究の骨子は以下である。 1) fNIRSによる嚥下困難の脳内表象の解析、2) 嚥下大脳・延髄ネットワーク抑制/促進シグナルの解析、3) 上記ネットワーク賦活方法の検討(径頭蓋磁気刺激:TMS、末梢刺激など)、4) 臨床治験への準備 最終年度は、1)2)で得られた治療ポイントから3)の臨床的条件を同定した。治療方法としては、口腔・顔面感覚入力による方法、TMSによる大脳刺激、を単独或いは併用にて使用した。磁気刺激法については、online TMS法或いはoffline rTMS法によるvirtual lesioning 法で施行を検討した。また、食形態・口腔内への感覚入力(アイスマッサージ、痛覚受容体を介した刺激)データにTMSを併用する方法からプロトコールを開発した。 また、4)臨床治験への準備として、最終年度中盤より臨床統計学者、治験管理部門、口腔歯科・咀嚼学、食品科学、リスク工学の研究者から評価をうけた。食品科学(texture, 食形態など)、咀嚼学(歯科)については、今後の実用応用へのシーズが具体的に検討され、産業応用への足掛かりとなった。また、リスク工学(プロセス管理工学)専門化との協力体制も構築し、実用化に向けて情報分野も含めた集学的なアプローチを展開した。
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