研究課題/領域番号 |
23500586
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
村田 潤 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00304428)
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研究分担者 |
村田 伸 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (00389503)
田平 隆行 西九州大学, リハビリテーション学部, 准教授 (50337432)
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キーワード | 手指感覚 / 自律神経性循環調節 / 手指皮膚血流量 / 脳血流量 / 点字解読課題 / 学習効果 / 健常成人 |
研究概要 |
本年度は,点字解読の学習課程における手指循環調節能,および脳皮質活性の変化を明らかにすることを目的として実施した. 方法:研究対象は,点字解読経験のない健常成人9名であった.被験者は机座姿勢をとり,10分の安静の後,①右手示指を使用して1つの点字プレート(幅3mm,高さ1mmの凸を点字模様に従って配列)の解読作業を15秒間行った.この実験課題を3~5分間の休息を取りながら,8回繰り返し実施させた.この課題施行時にみられる手指皮膚血流量,および前頭葉部の脳皮質活性を推定するために測定する脳組織酸素動態を同時に計測し,繰り返し実施する課題への学習効果にともなう反応特性の変化について検討した. 結果と考察:1回目の点字解読時に手指皮膚血流量は-21.4±13.8%まで減少し,2回目から8回目の反応は-16.1±26.4%~-37.9±20.0%まで減少し,繰り返し課題を実施することの影響は少なかった.一方で,反応のピーク到達までの時間は1回目13.4±1.3秒から,8回目8.4±2.7秒と徐々に速くなる傾向が観察された.前頭葉部の脳組織酸素動態の反応においても同様の傾向が示され,反応のピーク到達までの時間は1回目15.2±1.1秒から,8回目2.5±0.6秒と徐々に速くなっていた.これらの研究成績により,点字解読課題への学習効果が前頭皮質活性の予測制御(見込み的な活性)に関与し,その結果が手指循環動態の反応特性に反映したのではないかと考えた. 本研究課題は,循環調節能を指標とする新しい客観的な感覚機能評価法を開発するために,感覚情報処理時の手指循環動態変動と感覚認知に関連する大脳皮質領野の活性について検討した.その結果,点字解読時の手指血流量や前頭皮質の脳組織酸素動態の反応は加齢や学習の影響を受けることが判明した.
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