研究課題/領域番号 |
23500590
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
榊間 春利 鹿児島大学, 医学部, 准教授 (10325780)
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研究分担者 |
吉田 義弘 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10107906)
松田 史代 鹿児島大学, 医学部, 助教 (70437953)
井尻 幸成 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00315417)
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キーワード | 脳梗塞 / リハビリテーション / 神経保護 / メカニズム |
研究概要 |
本研究課題において、ラット脳梗塞モデル動物を使用し、運動療法と薬物療法の併用が脳梗塞後の運動機能回復に及ぼす影響を検討した。神経血管保護薬であるS-ニトロソグルタチオン(GSNO)はグルタチオンとNOの生理学的な代謝産物であり、生体内に広く分布し、血管弛緩性などNO類似の生理活性を有する。また、炎症や酸化ストレスによる損傷から血管内皮機能を保護する。GSNOの投与はiNOSの発現を減少させ、eNOSの発現を増加する。さらに、Caspase 3の発現を減少させアポトーシス抑制に働く。 GSNOを経口投与して、同時にロータロッド運動機器を使用して2週間運動負荷を行った。そして、GSNOと運動の併用が神経栄養因子の発現増加や機能回復に影響するかどうか調べた。また、そのメカニズムとしてPI3/AKT経路が神経保護、機能回復に関与しているのかを調べた。 その結果、GSNO投与群、ロータロッド運動群、併用治療群おいてBDNFの発現増加、アポトーシス抑制効果や機能回復促進が認められた。脳梗塞の縮小効果はGSNO投与群、併用治療群において観察されたが、運動群には観察されなかった。また薬物と運動療法を併用することにより運動機能の改善が早期より認められた。GSNO投与群、運動群にPI3/AKT 経路抑制剤(LY294002)を投与し、7日後に運動機能評価を行った結果、運動機能の回復を認めなかった。 これらの結果より、GSNOと運動療法の併用治療は単独の治療と比較して運動機能の回復が早く生じることが示された。また運動やGSNO投与群は神経保護や神経成長因子発現を刺激しPI3/AKTシグナル経路を活性化して、機能回復に関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
他施設と共同して研究活動が進行しており、おおむね順調に伸展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、運動負荷の程度、運動介入の時期などを変えて脳梗塞後の運動療法の効果を検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物の購入、組織学的、免疫組織学的、分子生物学的観察に使用する試薬、抗体の購入などに使用する予定である。
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