研究課題/領域番号 |
23500590
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
榊間 春利 鹿児島大学, 医学部, 准教授 (10325780)
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研究分担者 |
吉田 義弘 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10107906)
松田 史代 鹿児島大学, 医学部, 助教 (70437953)
井尻 幸成 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00315417)
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キーワード | リハビリテーション / 脳神経保護 / 神経栄養因子 / 機能回復促進 / 早期運動療法 / ロボットスーツHAL |
研究概要 |
本研究費により、脳梗塞後の運動負荷による神経保護作用や神経栄養因子の発現動態を免疫組織学的、分子生物学的に調べてきた。その結果、脳梗塞後の運動により脳梗塞周囲における神経栄養因子BDNFの発現や血管新生の増加、アポトーシス抑制が観察され、脳神経保護作用や運動機能の改善促進効果に関与していることが明らかとなった。さらに、運動による脳神経保護の細胞内シグナル伝達系を調べた。PI3/Akt経路の阻害薬であるLY294002 compoundを投与した結果、運動群は非運動群と同様に神経学的得点や運動機能に改善は認めず、運動による神経保護作用や機能改善にはPI3/Akt経路が関与していることが示唆された。 最終年度では、脳梗塞前の運動による神経栄養因子ミッドカインの発現動態に関して調べた。その結果、脳梗塞前の3週間の運動負荷により、脳梗塞後の梗塞周辺組織において、ミッドカインの発現が観察され、運動群が非運動群に比べ発現量が増加していた。これはミッドカンが脳神経保護に作用していることを示唆する。 さらに、中枢神経障害後の早期運動療法の効果をヒトに於いて実施した。具体的には、胸部OPLL術後患者の早期運動トレーニングによる機能改善促進効果を調べた。本症例は術後7週経過しても運動麻痺の改善はほとんど認めず、ベッド上の生活であったので、下肢運動麻痺に対して、7週後よりロボットスーツHALを装着して歩行トレーニングを開始した。その結果、開始3週頃より急激な起居動作の改善を認め、開始8週後には歩行が可能となった。これは、中枢神経障害に対する早期リハの有効性やロボットスーツHALの早期リハでの有効性を示唆しており、症例報告として論文発表した。
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