研究課題/領域番号 |
23500591
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
中村 康典 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 客員研究員 (30315444)
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研究分担者 |
下堂薗 恵 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30325782)
西 恭宏 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10189251)
松井 竜太郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60264446)
松元 秀次 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (80418863)
中村 典史 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60217875)
下松 孝太 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (30404502)
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キーワード | 摂食・嚥下機能 |
研究概要 |
前年度では、高齢者の誤嚥、窒息に対する潜在的な危険要因を抽出するために日常生活を自立した高齢者で口腔機能に問題があると考えられる歯科医院を受診した高齢者について摂食・嚥下機能に関する実態調査を行い後期高齢者では嚥下困難を自覚している傾向が高い傾向にあることを明らかにした。本年度は、後期高齢者に着目し嚥下困難にかかわる要因を分析するとともに義歯に関する影響について分析を行った。 鹿児島県歯科診療所を受診した日常生活を自立している後期高齢者(75歳以上)1,052名を対象に調査を行い以下の結果を得た。 1.後期高齢者では、口腔期項目で「食事時間の遅延」、「軟食を好む」、咽頭期項目で「食事時のむせ」、「声のかすれ」、食道期項目では「夜間の咳」が前期高齢者に比べ有意に頻度が高かった。2.後期高齢者では、嚥下困難感に対して「食事時間の遅延」、「ネバネバ感」、「軟食を好む」、「咽頭残留感」、「飲水時のむせ」、「胸づまり感」が有意に関連する因子と挙げられ、後期高齢者の摂食・嚥下機能の低下を示す兆候として考えられた。3.義歯に関して、後期高齢者では義歯で咬みにくさを自覚するものは、「嚥下困難感」、「食事時のむせ」が有意に高い頻度で認められた。4.後期高齢者では、食事時間の遅延するものでは「硬い物が食べにくさ」が有意な要因として挙げられ咀嚼機能の低下が嚥下困難に何らかの関与をしていることが示された。 以上より、後期高齢者では嚥下困難に関して口腔期の機能低下が大きく関与しており、特に食塊を形成するために重要な咀嚼機能の低下が誤嚥、窒息の危険因子として重要であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度では、高齢者の誤嚥、窒息に対する潜在的な危険要因を抽出するために摂食・嚥下機能に関する実態調査を行い、本年度では、さらに後期高齢者に着目し嚥下困難にかかわる要因を分析し、その結果後期高齢者における摂食・嚥下にかかわる口腔期の危険要因を抽出することができた。 しかしながら、前年度購入が遅れた舌圧測定用の食道内圧カテーテルを用いた舌圧の測定、分析が遅れており、口腔期の危険因子を分析するためのパラメーターとしての舌圧分析が検討できていなかったため、研究計画の遂行にやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度までに行ってきた摂食・嚥下機能に関する実態調査から抽出されてきた嚥下困難に関わる要因が、誤嚥や窒息のリスクとして妥当性があるのかを検証を行う。また、自立高齢者の摂食・嚥下機能低下の徴候の多くが口腔機能の低下であったことから、舌圧などの生理学的な機能の分析を行い危険因子の評価を可能となるような生理学的検査の基準を検討していく。 次年度では、これらの結果の学会発表を行うとともに、論文発表を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度では、舌圧測定のために必要な消耗品の購入と本年度まで行ってきた研究結果についての論文発表の校閲費、および国内、海外での研究成果発表のための費用が、研究費の主な使用となる。
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