研究課題
前年度までに、高齢者の誤嚥、窒息に対する潜在的な危険要因を抽出するために日常生活を自立した高齢者で口腔機能に問題があると考えられる歯科医院を受診した高齢者について摂食・嚥下機能に関する実態調査を行い、後期高齢者では嚥下困難を自覚している傾向が高い傾向にあることを明らかにした。また、後期高齢者に着目し、嚥下困難にかかわる要因を分析するとともに義歯に関する影響について分析を行い、後期高齢者においては、口腔期項目で「食事時間の遅延」、「軟食を好む」、咽頭期項目で「食事時のむせ」、「声のかすれ」が前期高齢者に比べ有意に頻度が高く、嚥下困難感に対して「食事時間の遅延」、「ネバネバ感」、「軟食を好む」、「咽頭残留感」、「飲水時のむせ」、「胸づまり感」が有意に関連する因子と挙げられ、後期高齢者の摂食・嚥下機能の低下を示す兆候として考えれた。義歯に関しては、後期高齢者では義歯で咬みにくいさを自覚するものは、「嚥下困難感」、「食事時のむせ」が有意に高い頻度で認められ、食事時間の遅延するものでは「硬い物の食べにくさ」が有意な要因として挙げられ、咀嚼機能の低下が嚥下困難に関与をしていることが示された。本年度は、上記口腔機能に大きく関与する舌圧および舌筋力の分析を行い、正常者で舌圧と舌筋力とは高い相関性が示され、舌圧測定、舌筋力測定は摂食嚥下に関わる舌機能の評価に有効であった。また、脳血管障害患者では舌圧、舌筋力は正常者に比べ低下する傾向が示された。本研究機関において、摂食・嚥下、窒息のリスクとして口腔機能の低下は大きな要因であることが考えられた。その評価の1つとしてリスクとして挙げられた口腔機能の項目には舌機能が関与しており、舌機能の評価が必要であると考えられた。期間中高齢者の評価にまで達せなかったが、今回舌機能の評価として舌圧、舌筋力の測定は有用な方法であることが示された。
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