研究課題/領域番号 |
23500598
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研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
渡部 一郎 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (50241336)
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研究分担者 |
長門 五城 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教 (20457740)
三浦 雅史 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (90315557)
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キーワード | 糖尿病 / 運動療法 / 末梢循環 / 毛細血管血流 |
研究概要 |
糖尿病患者の治療には、栄養指導と有酸素運動が重要である。近年、非侵襲性に手指爪上皮部毛細血管を顕微鏡観察、録画し、PCの動画解析で赤血球の移動速度(血流速度)を定量する手法が報告された。非侵襲性の末梢毛細血管観察装置、サーモグラフィを用い、自転車エルゴメーターによる糖尿病患者の有酸素運動前後で手指爪上皮部の毛細血管の形態観察、毛細血管血流速度を定量した。 II 研究方法と対象:糖尿病患者と健常人を対象とした(本学倫理委員会:承認番号11035、A 病院倫理委員会:承認平成23年3月3日、平成24年3月31日)。対象者を室温25℃に順化し、手指爪上皮部毛細血管を末梢毛細血管観察装置により血流速度を定量し、比較検討を行った。 III 結果および考案:糖尿病患者の毛細血管の形態は、短く細い毛細血管、上行脚、下降脚の区別が難しい交叉した毛細血管、複雑な走行を示す毛細血管が観察された。糖尿病患者15例の毛細血管血流速度(76.9±12.2 μm/s)は、健常人30例の毛細血管血流速度(93.0±14.5 μm/s)より有意に低値を示した。健常人7例に有酸素運動後の毛細血管血流速度(133.1±2.2 μm/s)は、運動前(124.6±3.4 μm/s)より有意の増加を示した。糖尿患者27例の有酸素運動後の毛細血管血流速度108.8±29.4 μm/sは、運動前の毛細血管血流速度104.2±31.5 μm/sより有意な増加を示した。手指温32.6±2.9℃は、運動前の手指温30.4±3.1℃より有意な上昇を示した。有酸素運動前の細い毛細血管の運動後の拡張や毛細血管血流速度の改善が観察され、患者が対面で同時に理解できるものであった。 糖尿病患者のサーモグラフィでは、有酸素運動前、手指尖部での温度低下を示したが、運動後、指尖部からの温度上昇が観察され、末梢循環の改善が示された。
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