痛覚,脳または自律神経の反応における呼吸の影響を検討するために,脳波,交感神経皮膚反応(SSR),指尖容積脈波(DPG),主観的痛みスケールを記録した。左手に呼気と吸気時にそれぞれ電気刺激を与えた。刺激強度は痛覚閾値とした。刺激強度は同一であったにも関わらず,被験者の主観的痛みスケールでは,吸気の電気刺激に比較して呼気刺激で痛みが弱いと感じていた。痛み関連脳電位の後期成分の振幅は吸気よりも呼気で小さかった。痛みの情報処理は呼吸によって動揺し,痛みは呼気時に中枢神経システムによって制御されていることが示唆された。
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