研究課題/領域番号 |
23500600
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
白石 英樹 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (50306643)
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研究分担者 |
堀田 和司 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (00569121)
糸嶺 一郎 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (00338013)
松田 智行 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (10523475)
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キーワード | 心肺機能 / 呼気ガス分析 |
研究概要 |
平成24年度は,引き続き基礎研究として健常者での調査,1)「OT訓練とPT訓練の心肺機能負担比較」,2)「同じ負荷量での上肢と下肢運動での心肺機能負担比較」を実施した.1)では,昨年度から健常成人12名を対象にOT訓練(机上サンディング,輪かけ移し,ペグ,コーンカップ積上げ)とPT訓練(トレッドミル歩行,立ち座り訓練,下肢筋力,ベッド上臀部拳上)をそれぞれ20分実施し,OT・PT訓練での心肺機能(呼気ガス分析)測定による比較・分析を行った.その結果,1) PT訓練に比べOT訓練は,HR,VT,VE,VO2,VCO2,VO2/kg,METSで心肺機能への負担は少ない傾向(p<.05)が示され,2)健常者11名で同じ負荷量(上・下肢エルゴメーター運動)での上・下肢負担感の比較では,HRやRRには有意な差はなかったが,VT,VEでは上肢エルゴ運動で有意に高く(p<.01 ),VO2,VCO2,VO2/kg,METS,RERでは下肢エルゴ運動で有意に高い(p<.05)ことが示された.また,平成24年度は,3)健常者7名に脳血管障害後の片麻痺様の状態を模した状態での家事活動(料理活動)での調査を追加し,利き手側が麻痺した場合での料理活動ではHR,VT, O2/kg, METSの値が有意に高く(p<.05)なることが示された.Borgスケールでは,利き側制限(麻痺様)で有意に大きい値を示し(p<.05),料理の遂行時間も利き側制限(麻痺様)で有意に長くなった(p<.05). 平成23・24年度の健常者による比較実験より,OT訓練の心肺機能への負担は,PT訓練よりも少ない可能性が考えられ,また,同じ負荷量では上肢運動は下肢運動と有意な違いが示されず,上肢・下肢運動の心肺機能への負担の違いは少ない可能性も示唆された.これらの結果は,日本作業療法学会(2013)にて発表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は,23年度に引き続き健常者において二つの研究を実施し,さらに第3研究として作業療法における料理活動での心肺機能負担感の調査を追加して研究を行ってきた.全体における研究達成は,概ね 40%~50%程度と考える.本研究においては,全体で3つの調査項目を予定しているが,平成23年度はそのうちの2項目(OT訓練とPT訓練の心肺機能への負担比較と,同負荷量での上肢運動と下肢運動での心肺機能への負担比較)を健常者で進めることができ,平成24年度ではさらに模擬的片麻痺様の状態における料理活動での心肺機能負担についても追加の調査ができた.しかし,いずれもまだ健常者での調査にとどまり,脳血管障害患者さんを対象とした介入調査ができていない. 平成24年度では,机上訓練のみではなく,作業療法で重要な日常生活活動に即したOT訓練での心肺機能負担感についての調査も必要と考え,「料理活動」における心肺機能負担について追加調査したことで,脳血管障害患者さんへの調査へ進めることができなかった.平成23・24年度の健常者への調査(第1から第3研究)により,脳血管障害患者さんへの調査実施に対する実施方法などは確立し,またその方法において危険性がないことが確認され,平成25年度は脳血管障害患者さんを対象とした測定・分析を中心に進めていく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,脳血管障害患者さんへの介入・測定を中心に研究の実施をしていくとともに,基礎的研究における健常対象者の増加を進めて実施していく予定である. 特に脳血管障害患者さんでは,はじめ外来でリハ訓練を実施している患者さんや地域で生活している患者さんを対象に協力をお願いし,上記のOT訓練,PT訓練での心肺機能への負担について測定・分析を行い,その後,可能な範囲で入院患者さんへの協力をお願いし,リハ訓練(OT,PT)実施での心肺機能負担の測定を行うようにしたいと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,呼気ガス分析装置の消耗品としての酸素センサー(1年間の消費期限),サンプルライン(Metalyzer 3BとMetamax3B用ともに1年間の消費期限)などの交換費用等に約150,000~170,000円,その他の消耗品,印刷,通信費,等に約100,000円,研究協力対象者(健常者)および脳血管障害患者さんへの協力謝金費用(約250,000円から350,000円),また研修会・学会等への参加・発表の旅費として(約200,000~300,000円)を予定している.対象患者さんの自宅訪問などにおける調査(訪問費)としては約100,000円程度の予算を考えている.
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