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2011 年度 実施状況報告書

サル肋間神経移行後の中枢神経系における可塑的変化

研究課題

研究課題/領域番号 23500601
研究機関茨城県立医療大学

研究代表者

佐々木 誠一  茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (50153987)

研究分担者 飯塚 眞喜人  茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (40274980)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード肋間神経移行 / 可塑性 / 大脳皮質 / 運動野 / 随意運動 / 霊長類
研究概要

サルをガス麻酔し無菌下で第2、3肋間神経を剖出し筋皮神経から派生する上腕二頭筋の支配神経を筋皮神経から分離する部分で切断し切断部に第2肋間神経と第3肋間神経を神経縫合した。手術後、サル用のジャケットを着せ縫合した神経の損傷をふせぐために手術側の前肢の動きを緩く制限した。手術後8ヶ月経過してから肋間神経移行神経上腕二頭筋、上腕三頭筋、三角筋にワイヤー電極を留置した。運動野の位置を確定するためにゼロ点のイヤーバーから吻側へ2mmごとにMRI撮影を行い中心溝の位置を確定した。左右の運動野の存在する位置に慢性実験用チャンバーを取り付けた。微小金属電極を刺入し、上肢領域を微小電流刺激し肋間神経移行神経上腕二頭筋が上肢支配領域、あるいは体幹領域のどちらから興奮入力を受けるか調べた。実験終了後深麻酔で脳をホルマリン固定し100ミクロンの冠状断連続切片を作成しニッスル染色を行い、微小電流刺激したトラックの位置、深さ、微小破壊の場所、ニッスル染色された切片での錐体路細胞の分布から運動野の上肢支配領域、あるいは体幹領域のどちらの場所が肋間神経移行上腕二頭を収縮させるか検索しス。現在、データ解析中であり決定的な結論を得るには至っていないが、現時点では正常側を同様に微小電流刺激して得られた正常側の体部位局在のデータを指標にして移行側での大脳皮質での体部位局在を比較検討をして大脳皮質の可塑的変化ではなく移行側大脳皮質運動野下行路の可塑的変化がおきた可能性が見出された。これまで運動野の障害後に運動野あるいはその周辺領域での可塑的変化で運動回復が説明されてきたが運動野下行路での可塑的変化の可能性が見出された意義は大きいと思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

カニクイザルの一側の第2、3肋間神経を上腕二頭筋を支配する筋皮神経に神経移行する手術は順調にできたと考えた。肋間神経移行後、随意動作をさせ二頭筋の筋電図を解析し呼吸活動と随意運動がかい離することを確かめることができた。大脳皮質の運動野において体幹支配領域と上肢領域を微小電流刺激し上肢支配領域と体幹領域がどのように変化するか調べた。現在、実験を行ったサルの脳切片を解析中であり、平成23年度の計画を順調に実施できたと判断した。

今後の研究の推進方策

平成25年度と平成26年度に新たに肋間神経移行したサルを作成する。麻酔下無菌的に一側の第2、3肋間神経を上腕二頭筋を支配する筋皮神経に神経移行する手術手技はこれまでのネコ・サルを用いた研究で経験を積んでいるので特に問題ないと思われる。筋電図電極を長期間安定して留置するのは困難なため手術直後から3か月以内の移行上肢の随意運動の回復を直接上肢を手で触りながら確かめる。これまでの研究で手術直後は上腕二頭筋二頭筋が機能していないため肩と体全体を使って手を引こうとするが手術後3か月を経過すると上腕二頭筋を使って手を引こうとすることが容易に確かめられる。手術後8か月以上経過した時点でMRI撮影を行い中心溝の位置を確定した後記録チャンバーを取り付け筋電図記録ワイヤー電極を留置する。タングステン微小電極を運動野直上に取り付けた記録チャンバーから刺入し単一錐体路細胞から活動を記録する。肋間移行した上腕二頭筋から筋電図を記録し単一錐体路細胞の活動電位をトリガーとして全波整流し高域遮断した筋電図波形を平均加算する。単一錐体路細胞の発火開始時点から肋間神経運動ニューロンを経由して筋活動開始までの遅延時間の後に筋電図の促通曲線を調べることによって、本来の上肢支配領域の錐体路細胞が神経移行された肋間神経運動ニューロン経由で上腕二頭筋を制御しているかどうか調べる予定である。

次年度の研究費の使用計画

申請に記載した項目に大幅な変更はない。現時点では50万円を超える機器の購入予定はない。実験動物購入費と1年間の飼育管理費70万円、モンキーチェア作成費20万円、タングステン電極10万円、電気部品10万円、薬品(麻酔薬、鎮痛薬、抗菌薬等)10万円、試薬(ホルマリン、塩化ナトリウム、塩化カリウム等)5万円、学会出張旅費(生理学大会、神経科学大会)20万円、報償費(データ整理、実験補助)10万円等が必要である。

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公開日: 2013-07-10  

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