研究課題/領域番号 |
23500605
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
小池 好久 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (20368723)
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研究分担者 |
加納 良男 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (70116200)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 振動音響療法 / Wearing-off現象 / パーキンソン病 |
研究概要 |
1.老人保健施設入所者15名へ2週間の振動音響療法を行った結果,生理指標においてその安全性が確認された.また心理指標において抑うつの改善効果・生理指標において睡眠の改善効果が有意に示された.今回の研究において,振動音響療法は,老人保健施設入所者に対して,リラクゼーション効果はもとより心筋細胞の保護効果を与え,また,筋の活性化を促して有酸素運動効果へつなげ,その結果として,抑うつの改善につながる可能性が示唆された.Yoshihisa Koike et al:Effect of Vibroacoustic Therapy on Elderly Nursing Home Residents with Depression. J.Phy.Ther.Sci.24:291-294,2012.(Grant No.2050045)2.パーキンソン病の高次機能障害の特徴である注意障害の改善効果が期待されるスチームフットスパを,高血圧等循環不全が見られ,認知機能の低下が疑われる老人内科病棟入院患者13名に2週間施行した結果,スチームフットスパ施行前後において,優位に血圧の改善が全員に見られた.また12名にMMSEの改善が見られた.スチームフットスパは,リラクゼーション効果が高い半面,急性心筋梗塞や脳梗塞発症のリスクを伴う温入浴と異なり,入院患者の心臓に負担をかけることなく,むしろ心臓を保護し,さらに全般的注意機能の改善に伴う認知機能の改善につなげる治療法となりうることが示唆された.特に注意障害の改善効果が有意にみられ,このことがMMSEの得点を高めと考えられる.小池好久他「認知症のBPSD及び中核症状に対する非薬物療法の一手法としてスチームフットスパ(スチーム式足湯)の効果の検討」Dementia Japan(1342-646X)25巻3号,397,2011.10(課題番号.2050045)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東北大震災後に科研費の支払い額が不透明になり,購入予定のF-スキャンIIの購入が滞ってしまった,最終的に購入が平成24年2月24日にずれ込んでしまい,当初予定のスケジュールより研究が遅延している状況である.
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今後の研究の推進方策 |
早急に平成24年8月までには臨床での研究に入る予定である.老人保健施設入所者に対する振動音響療法についての論文がJournal of Physical Therapy Scienceに掲載され,安全の説明とその効果の説明が容易になり,現状では賛同が得られており,臨床での研究が容易になっている.また,老人内科病棟入院患者に施行したスチームフットスパの研究において,注意障害の改善が確かめられた.パーキンソン病の動作緩慢等とともにADLの障害となる注意障害の改善がパーキンソン病患者においても可能かの検討も合わせて行ってゆく.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は,パーキンソン病患者を対象に,振動音響療法のWearing-off現象の改善効果の検討を行う予定.そのため,平成24年度の研究費の多くは同意を得られた協力者及び医療施設に対しての研究協力費(謝金;前年度研究までこぎつけなかったのでその繰越金も含める)及びその研究に付随する消耗品に充当する.
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