研究課題/領域番号 |
23500606
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
吉野 賢一 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (90201029)
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研究分担者 |
河岸 重則 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (20137334)
田中 敏子 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50137337)
下堂薗 恵 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30325782)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 脳・神経 / 可塑性 / 近赤外分光法 / リハビリテーション / 舌運動 / 方向選択性 |
研究概要 |
舌を突出する運動の遂行は脳を賦活あるいは脳の可塑的変化を促すことが多くの研究により示されている。しかしながら、それらの研究では舌を一定の方向(前方)へのみ突出させる運動のみであり、舌突出の方向性については調べられていない。一方、腕のリーチング時には方向選択性をもって活動する神経細胞の存在が知られており、舌突出においても、その突出方向によって脳の賦活および脳の可塑的変化をより促進させ、摂食・嚥下リハビリテーションへの応用が期待できると考えられる。そこで方向選択性舌突出課題を遂行中の被験者において、前頭前野の賦活あるいは可塑的変化を光イメージング脳機能測定装置(Spectratech OEG-16)により測定し、認知機能を維持、向上させる科学的根拠に基づいた摂食・嚥下リハビリテーションの訓練・評価システムを開発することを目的とした。平成23年度はシステムで用いる視覚誘導・方向選択性舌突出課題を構築した。課題シークエンスは以下の通りである。(1) 課題開始の後、被験者の眼前のディスプレイに黄色の中央点が提示される。被験者は課題遂行中、常に中央点を注視し続ける。(2) 中央点提示の2秒後、中央点から上・下・右・左のうちランダムに選択された1カ所に、白色の指示刺激が提示される(指示刺激は将来行うべき舌突出運動の方向を示す)。(3) 指示刺激は2秒間提示された後消灯し、4秒間の遅延期間となる(この遅延期間において、被験者は指示刺激の位置を記憶しておく必要がある)。(4) 中央点が青色に変わる(GO信号)。(5) 被験者は指示刺激が示した方向に舌を突出する(これで1試行が終了し、3秒間のインターバルの後 (1)に戻る)。本課題の遂行は、健常者のみならず摂食・嚥下障害患者においても負担のかからないものであり、摂食・嚥下リハビリテーションへ応用を前提に考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光イメージング脳機能測定装置を一式購入し、課題の構築が完了した。研究代表者が所属する九州歯科大学の学生を被験者とする健常者における測定実施の準備も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
光イメージング脳機能測定装置を用いて、平成23年度に構築した視覚誘導・方向選択性舌突出課題を遂行中の被験者における前頭前野の活動を記録する。さらに、本課題の遂行をトレーニングとしたリハビリ効果を検討する。また、研究分担者・下堂薗が所属する鹿児島大学医学部・歯学部付属病院霧島リハビリテーションセンター(以下、リハビリセンター)に入院する摂食・嚥下障害患者を被験者とし、摂食・嚥下リハビリテーションへの本研究の応用を検討する。その際、脳血管障害等により認知機能の低下が認められる患者においては、立方体模写およびMMSEの検査を行い、トレーニングによる高次脳機能への影響をあわせて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
光イメージング脳機能測定装置の外部附属品(ヘッドモジュール、ファントム等)の購入、fNIRS Data Viewerのバージョンアップ、被験者の脳機能測定時に必要な物品(消毒液、マスク等)の購入をおこなう。また、リハビリセンターにおける研究分担者との打ち合わせ、および摂食・嚥下障害患者における脳機能測定とトレーニングのためのセットアップのために研究費を用いる。
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