研究課題/領域番号 |
23500606
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
吉野 賢一 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (90201029)
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研究分担者 |
河岸 重則 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (20137334)
田中 敏子 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50137337)
下堂薗 恵 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30325782)
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キーワード | 歯学 / リハビリテーション / 摂食嚥下 / 舌 / 近赤外分光法 |
研究概要 |
舌突出課題を遂行する被験者から,光イメージング脳機能測定装置を用いて脳活動を記録し,視覚誘導性舌運動機能に関与する大脳皮質前頭前野の役割を明らかにした.被験者(12人)をディスプレイの前に座らせ,前頭部に光イメージング脳機能測定装置のセンサーバンドを取り付けた.被験者はディスプレイに呈示される視覚刺激を手がかりとして,舌の突出運動を行う課題(方向選択課題,前方突出課題,コントロール課題)を遂行した. 全ての被験者において,方向選択課題遂行時に前頭前野の活動が認められた.9人では右半球に賦活が認められた.それら9人のうち,4人は左半球でも弱い賦活が見られ,残りの5人においては左半球の活動が抑制されていた.一方,右半球での活動は認められなかった3人では左半球での賦活が見られた.方向選択課題の方が前方突出課題よりも賦活した被験者は7人いた.脳活動が強くなり領域も広くなったものが3人,活動のみが強くなったものは4人いた.また,前方突出課題の方がコントロール課題よりも賦活を認めたものは5人で,1人は活動が強くさらに領域も広くなり,活動のみが強くなったものは4人であった.一方,方向選択課題の方がコントロール課題よりも賦活を認めたものは9人であった.2人は活動が強くさらに領域も広くなり,6人では強く活動し,1人は領域のみが広くなっていた. 本研究により,視覚刺激による方向性を持たせた舌突出運動は,高次脳機能の回復・向上に効果的な手法となることが示唆された.したがって,方向性を持つ舌突出運動は運動および感覚機能だけではなく,認知機能を含めた高次脳機能を回復・向上させる可能性があり,摂食・嚥下リハビリテーション(口腔体操等)への応用が期待できる.
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