研究概要 |
対象】平成25年4月から平成26年3月までの間に当科でリハビリテーションを施行した脳梗塞を含む脳卒中患者の中で、1)糖尿病の既往歴がない、2)46歳以上、3)発症から75g経口糖負荷試験(OGTT)施行までの期間が3週間以上経過、4)空腹時血糖(FBS)が125mg/dl以下の症例で、しかも5)body mass index(BMI)25以上、トリグリセリド値(TG)150mg/dL以上、HDLコレステロール値(HDLC)40mg/dL未満、空腹時血糖値(FBS)110mg/dL以上の4項目の中のどれか1つを有した5例であった。 【方法】対象症例に対してOGTTを施行し、その結果をもとに、対象症例を正常型・境界型・糖尿病型の3群に分類した。今年度は、この3群とメタボリックシンドロームの病態の最も上流に位置する肥満との関連を検討した。肥満はBMIと内蔵脂肪面積を用いて評価した。内臓脂肪面積は腹部CTを用い、臍レベルで測定された。 【結果】OGTT施行時の平均年齢は64.4歳、発症からOGTT施行までの平均期間は1.4ヶ月、OGTT施行時のBMI,FBS(mg/dl),TG(mg/dl),HDLC(mg/dl)の平均値は各々、24.4、90.4、158.4、34.0であった。OGTTでの糖負荷後2時間での血糖値の結果から,正常型1例、境界型が4例であった。BMI、臍レベルでの内蔵脂肪面積(cm2)を正常型/境界型別に検討すると、BMIは25.0/24.2であったが、内蔵脂肪面積は71.5/79.6であった。また、境界型4例中1例では、3ヶ月後の再検査の結果、正常型へ改善した。 【結論】今年度の結果からは、内臓脂肪面積が脳梗塞を含む脳卒中発症後に検出された耐糖能異常と関連することが示唆された。
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