研究課題/領域番号 |
23500609
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
藤田 佳男 目白大学, 保健医療学部, 准教授 (40584206)
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究の目的は高齢者の移動の自由を保障するため、有効視野測定法を用いた簡便な運転適性評価システムを実用化することである。今年度は我々が開発した有効視野測定ソフトウェア高齢者版(以下VFIT-EVと略す)の妥当性を示した原著論文が学術誌作業療法6月号に掲載された。また、さらなる妥当性の検証を目指し高齢プロドライバーの被験者を10名追加して再度解析したが、有効視野サイズと事故経験は直接関係が認められなかった。しかし、高齢プロドライバーの中でも60代の者はVFIT-EVのFalse Alarm(前頭葉機能の低下を示すと考えられる指標)が有意に多く、プロドライバーでも前期高齢者と後期高齢者では事故につながる認知機能要因が違う可能性が示唆された。これは2013年6月の日本作業療法学会で発表し、その後論文化する計画である。また、現在2カ所の医療現場でVFIT-EVは用いられているが、さらに使いやすくするため、今年度は20名の健常被験者で標準値を得た。こちらについては2013年9月の日本応用心理学会で発表する予定である。また、VFIT-EVのタブレットPC版開発を日本工業大学情報工学科に依頼した。こちらは現在テスト段階であり、数度の修正を経て次年度中に運用できることを目指している。また、高齢プロドライバー約250名に運転に関する自己認識と認知機能に関する調査を実施し、現在解析中である。その他、本研究と関連の深い高齢者講習に関する研究を警察庁交通局の協力を得て行い、日本老年医学会学術集会および、国際神経心理学会、国際老年精神医学会でポスター発表した。またADED Annual Conference and Exhibits(米国運転リハビリ学会)に参加し、最新の運転リハビリテーション事情を知ることが出来た。こちらについては次年度の学会のポスター演題に応募し、採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的を達成するにはまず、1)VFITソフトウェアを多忙な臨床現場で簡単に使用できるようにソフトウェア、ハードウェア、実施方法などを含めて改良すること。2)VFITソフトウェアの健常者における年齢別平均値など標準的なデータおよび患者データを増やして、信頼性を向上すること。3)VFITソフトウェアの妥当性を現在の実車評価データのみでなく、事故経験やさらには暴露度(走行距離)を考慮したデータでの妥当性を検証すること。等が求められる。以上のうち1)は次年度中にタブレット版も稼働すれば達成される。2)については今年度でデータを得たため、次年度に発表することで達成される。3)についても昨年度データを得たため、次年度に論文投稿できる。それゆえ本研究の目的は最終年度に全て達成できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を今後さらに推進する為には、若年者(20代~50代)の脳損傷などの障害者での応用をどのようにするかが課題である。そのためには若年者用ソフトウェアVFITの年齢別正常値を得ることや、若年者の広い有効視野をいかに小さなタブレットPCで実施するかなど開発面での検討が必要である。
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次年度の研究費の使用計画 |
ソフトウェアの開発は今年度で概ね完成しているが、簡単な修正のために10万円程度を計画している。また、可能であればタブレットPCと従来版VFIT-EVとの併存妥当性を検証するため、20名程度の被験者と検査実施アルバイトに20万円程度の謝金を計画している。また成果発表のため各学会への出張旅費も可能な範囲で計画している。
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