研究課題
血管内皮機能をエンドポイントとし、生活習慣病患者における短期間の在宅による運動療法が、血管内皮機能に与える影響について検討した。複数の冠危険因子を保有する生活習慣病患者35名を対象とした.炎症指標としてhs-CRP,IL-6,PTX3を測定した.酸化ストレスは,活性酸素代謝産物(dROMs)を測定した.血管内皮機能は,Endo-PAT2000を用いて指尖の反応性充血を評価するreactive hyperemia peripheral arterial tonometry(RH-PAT)を実施した.身体活動量は,加速度計付きの歩数計を用いて,歩数,運動量,中強度(3-6METs)の運動時間を測定した.運動療法として,「1日10,000歩を目標」と「中等度の運動強度である速歩」を指導した.運動療法前に比べて、運動療法4週間後の歩数と中強度の運動時間の両者が増加した28名を身体活動量増加群、残り7名を身体活動量非増加群として2群に分類した。身体活動量増加群では,介入前に比べて介入後のRH-PAT indexは有意に増加し,血中PTX3濃度は有意に低下した(それぞれP<0.05).一方,両群において,hs-CRPとIL-6は有意な変化を示さなかった.4週間の運動療法を行った本研究では,CRPとIL-6に変化は認められなかった.PTX3は,動脈硬化巣の血管内皮細胞やマクロファージから産生されることが明らかとなっている.PTX3は,CRPやIL-6に比べて運動療法による局所の血管炎症の低下を速やかに反映する指標であると推察された.生活習慣病患者に対する運動療法は,4週間という短期間であっても血管内皮機能を改善し,血中PTX3濃度を低下させた.PTX3は,CRPやIL-6に比べて,生活習慣病患者における短期間の運動療法の効果を反映する炎症バイオマーカーである.
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り順調に研究が進み、その結果の一部は学会発表出来るようになってきている。
当初の予定通り研究を進めていく方針である。
血液データの測定に研究費の多くを使用する予定。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件)
American Journal of Cardiology
巻: 109 ページ: 1164-70
心臓リハビリテーション
巻: 17 ページ: 98-102
心臓
巻: 43 ページ: 174-180
Cardiovascular Therapeutics
巻: 29 ページ: 46-53
Respiratory Physiology & Neurobiology
巻: 178 ページ: 275-282