研究概要 |
平成24年度は、「多疾患有病者の早期社会復帰に必要な回復期心臓リハビリテーションの介入方法の確立」に対する研究として、虚血性心疾患患者と心不全を対象とした研究と対照群として健常者を用いた研究の両面から検討を進め、論文発表を含めて多くの成果が出た。 目的:在院日数の短縮化や患者の高齢化に伴い、退院時に社会福祉サービスを受ける患者が増加している。そこで、退院時に社会福祉サービスを必要とする心血管病患者を入院早期に予測するための因子について検討した。 方法:対象は、北里大学病院に入院した心血管病患者147例(70±13歳、男99例、女48例)であった。調査項目は、患者背景因子、心不全の既往、入院形態(予定入院または緊急入院)、介護者の有無、介護保険の申請、自己管理能力、移動能力、排泄能力、経済的不安の有無、認知機能、社会福祉サービスの利用とした。統計解析は、社会福祉サービスの利用を予測する因子を抽出するため、変数減少法によるロジスティック回帰分析でオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 結果:退院時に社会福祉サービスを受けた症例は41例(27.9%)であった。ロジスティック回帰分析の結果、社会福祉サービスを利用する症例を予測する因子として、低い移動能力 (OR=3.96, 95%CI:1.53-10.27, P<0.01)、緊急入院(OR=7.96, 95%CI:1.72-36.85, P<0.01)、介護者無し(OR=2.82, 95%CI:1.24-6.43, P<0.05)、心不全の既往(OR=2.14, 95%CI:0.94-4.89, P=0.07)が抽出された。 結語:退院時に社会福祉サービスを必要とする心血管病患者を入院早期に把握するためには、患者の移動能力、入院形態、介護者の有無、および心不全の既往が重要な評価項目となる。
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