研究課題
平成25年度は、「多疾患有病者の早期社会復帰に必要な回復期心臓リハビリテーションの介入方法の確立」に対する研究として、虚血性心疾患患者と心不全を対象とした研究と対照群として健常者を用いた研究の両面から検討を進め、論文発表を含めて多くの成果が出た。臨床研究として、健常者に対する運動負荷方法による違いを検討し、同一運動負荷であっても、負荷様式が異なると心負荷に差が生じること、さらに初回運動と数回運動をした後では交感神経緊張に差が生じて心筋酸素消費量が変化することを明らかにした。即ち、高齢者においては充分な監視下での運動負荷が必要であることが判明した。この一連の臨床研究は、今年度は一部が学術雑誌に既に掲載され、英語論文もin printを含めて数編が掲載された。心臓リハビリテーション(心リハ)患者は多疾患有病者の割合が高く、個々の合併症によって心リハ進行に差がみられた。心リハの継続は患者の身体的・精神的満足度を高め抑うつ状態を改善するが、より効果的な心リハ運用方法の検討が必要と思われた。虚血性心疾患患者の下肢筋力は運動耐容能および生命予後を予測する因子であり、5 METs、7 METs、および10 METsを完遂するための下肢筋力目標値は、それぞれ46 %BW、51 %BW、および59 %BWであった。また、下肢筋力が32 %BW以下の患者は、生命予後が有意に不良であった。本研究で明らかとなった下肢筋力の目標値は、身体活動量が低下した高齢患者から復職や軽スポーツの再開を目標とする中高年患者まで、幅広い年齢層に適応可能な目標値であり、臨床的に有用な目標値になると考えられた。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)
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