研究課題/領域番号 |
23500614
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
松永 篤彦 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (00286387)
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研究分担者 |
渡邊 裕之 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (40348602)
木村 雅彦 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (20458748)
北川 淳 北里大学, 一般教育部, 准教授 (80260529)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 慢性腎臓病 / 血液透析 / 骨密度 / 身体活動量 |
研究概要 |
平成23年度は、本研究の初年度であるため、維持血液透析患者(HD)患者の骨密度ならびに骨代謝と日常の身体活動量との関連を横断的に調査した。 対象は、外来通院が自立しているHD患者125例(66±8歳,男性63例,閉経後女性62例)とした。測定項目は、患者背景因子として年齢,性別,透析期間,dry weight,糖尿病の有無,ビタミンD製剤の服用の有無,カルシウム受容体作動薬の服薬の有無,副甲状腺摘出手術の既往の有無とした.血液生化学検査としてヘモグロビン値,血清アルブミン,血清カルシウム,血清リン,および副甲状腺機能の指標である血清intact-PTH を診療記録より調査した.骨代謝として骨形成の指標として骨型アルカリフォスフォターゼ,骨吸収の指標として血清I型コラーゲン架橋N-テロペプチドを診療記録より調査した.骨密度の指標として超音波骨密度測定器を用いて踵骨のStiffness indexを測定した.身体活動量として,加速度計付歩数計 を一週間装着させ,一日あたりの歩数(steps/day)を求めた。解析方法は,骨密度を従属変数,患者背景因子,血液生化学検査および身体活動量を独立変数とした重回帰分析を行った.さらに,副甲状腺機能が正常なHD患者群,副甲状腺機能が低下しているHD患者群および副甲状腺機能が亢進しているHD患者群の3群に分類し,それぞれの群内において身体活動量と骨代謝および骨密度の相関関係を検討した. 結果は、骨密度の規定因子として性別,透析期間,dry weight ,糖尿病の有無,i-PTHおよび歩数が抽出された(p<0.01).また副甲状腺機能が正常なHD患者群の身体活動量は骨代謝と骨密度と有意な正の相関を認めたが(それぞれp<0.05),副甲状腺機能が低下しているHD患者群および副甲状腺機能が亢進しているHD患者群では関連は認められなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に予定した横断研究計画は、対象数ならびに測定項目の採取等、全て予定通り実施できた。さらに、同年度において、維持血液透析患者の運動機能の特徴を把握する研究を並行して実施できた。このため、次年度の運動機能介入に向けた具体的な内容を検討できる段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の横断研究で得られた対象者から、平成24年度から実施する介入研究に参加できる患者の選定を行う予定。また、運動療法の介入方法を具体的に選定する予定。具体的な介入法については、個々の症例の運動機能を定期的に評価しているため、その結果をもとに、安全で継続可能な運動種目と指導法方法を検討する。とくに、平成24年度においては、運動療法介入群として、15例~30例を選定する。運動療法については6ヶ月間以上可能な種目と方法を個々の運動機能に応じて処方する。6ヶ月間の間は、外来にてフォローアップして、安全性に努めるとともに、継続出来るような指導を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
骨密度測定器(A-1000Express、GE横河メディカル)のメインテナンス費用(消耗費用)、ならびに身体活動量計測器(加速度センター付き万歩計、スズケン)を充足するための費用(消耗費用)の執行を計画している。また、本研究の成果発表として、国内学会(神戸、北海道)、国外学会(アメリカ)へ出張する予定である。
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