研究課題/領域番号 |
23500614
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
松永 篤彦 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (00286387)
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研究分担者 |
渡邊 裕之 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (40348602)
木村 雅彦 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (20458748)
北川 淳 北里大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80260529)
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キーワード | 慢性腎臓病 / 血液透析 / 骨密度 / 身体活動量 |
研究概要 |
平成24年度は、23年度の横断研究をうけて、維持血液透析患者の日常生活活動と骨密度との関連を横断的ならびに縦断的に調査し、以下の結果を得た。 対象は,男性および閉経後女性の外来HD患者165例(年齢68.4±8.2歳,男性87例,BMI21.3±3.1kg/m2,HD期間8.8±8.5年,補正カルシウム(Ca)9.2±0.mg/dL,血清リン(P)5.0±0.9mg/dL,血清副甲状腺ホルモン(i-PTH)133.3±106.9pg/mL,活性型ビタミンD3製剤(VDS)使用者123例)とした.身体活動量は,加速度計付歩数計(ライフコーダ,SUZUKEN)を用いて一日あたりの歩数を測定した.骨量は,超音波骨密度測定法(A-1000EXPRESS,GE Healthcare)を用いて右踵骨のStiffnessを測定した.解析方法は,年齢,BMI,HD期間,Ca,P,i-PTH,VDS使用の有無で調整した重回帰分析を用いて、骨量と身体活動量の関連を男女別に検討した.さらに、本研究の対象のうち、2年間の追跡調査が可能であった者については、身体活動量を一日平均5000歩以上であった群と未満であった群に分けて、観察期間前後のStiffnessの変化を、分散分析を用いて男女別に比較した。 結果をまとめると、臨床的背景因子および生化学指標で調整した重回帰分析の結果から,身体活動量と骨量との間に強い関連を認めた.分散分析の結果から、男女ともに、身体活動量は骨量の変化に対して有意な影響が認められた。 以上のことから、日常の身体活動量は,男性および閉経後女性HD患者の骨量と強く関連していることが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日常の身体活動量と骨密度との関連について、横断的に調査では対象者を165名までに増やすことができ、そのうち、約3割は2年間の変化を縦断的に追跡できている。当初の予定では5割を目指していただ、症例の治療や症状の変化もあり、さらに本年度は追跡調査を加えて目標を目指したい。介入方法についての方針は、特別な介入が困難であることから、身体活動量の歩数指導を中心に進めていく方針である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に予定していた縦断調査については、対象数ならびに測定項目は予定通り実施できた。 また、結果として、身体活動量の変化が骨密度の変化にも関連をするという、平成23年度の横断的調査に引き続き、骨密度に与える要因をリハビリテーションの領域から介入できる証拠を見出すことができた。さらに、平成24年度では、対象数は少ないが、身体活動量が一日平均5,000歩以上か否かで、骨密度に与える影響が異なることも、見出すことができた。これゆえ、平成25年度では、これらの活動量の歩数のポイントを介入および指導内容として設定し、これらの運動指導が骨密度に与える影響を検討することの方向性も示すことができたと思われる。来年度(最終年度)は上記の内容を検討して、長期効果の検討を行うことにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
身体活動量を調査するために必要な測定機器(ライフコーダー、スズケン)をさらに20個程度追加購入する予定である(約25万円程度)。また、骨密度測定機器に関する消耗品を要する。 さらに、身体機能の測定機器についても、消耗品程度を要する。 なお、最終年度であるため、国外学会1箇所、国内学会3箇所において、発表する予定となっている。
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