研究概要 |
【目的】リンパ浮腫患者を対象に、非接触3次元デジタイザ(VIVID 910、コニカ・ミノルタ社製、日本)、赤外線スキャン(Perometer550T、Pero-System社製、ドイツ)、水置換法(自作)および巻尺を用いて下肢体積および周径を計測し、個々の評価機器の計量心理学的特性を検証すること。 【方法】対象は健常者16名・婦人科癌術後の二次性下肢リンパ浮腫患者7名。立位姿勢でVIVID・Perometerを用いた体積測定・巻尺を用いた周径計測を2回測定を繰り返し、その後、水置換法による体積測定を1回行った。VIVIDでは下肢を6方向から撮影、3D画像化し計測ソフトにより体積・下肢周径を算出した。Perometerでは赤外線スキャンを行い画像化し体積・下肢周径を算出した。 【結果】巻尺およびPerometerによる周径計測の級内相関係数(ICC)は両者の各部位で0.90以上、VIVIDによる周径計測のICCは健常者0.27-0.8、患者0.57-0,76であった。Perometer・VIVIDによる体積計測のICCは両者とも0.88-0.97であった。巻尺とPerometerによる周径計測との相関係数は両者の各部位で0.82-0.99、巻尺とVIVIDによる周径計測の相関係数は両者の各部位で0.49- 0.79であった。水置換法とPerometerによる体積計測との間の相関係数は健常者0.99、患者0.91、水置換法とVIVIDによる体積計測の相関係数は健常者0.72、患者0.86であった。 【考察】周径計測ではPerometerは高い信頼性・妥当性を示したが、VIVIDでは信頼性・妥当性ともやや低かった。体積計測ではPerometer、VIVIDともに信頼性は高く妥当性も良好であった。Perometer・VIVIDは測定方法や解析に関して巻尺計測、水置換法に比べて多くの利点を有している。測定方法について改善の余地はあるが代替手段として有効な評価法となる可能性が高いことが示唆された。
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