研究課題
これまでの高次脳機能障害研究は慢性期における一例報告のパターンが多く、高次脳機能障害に対するリハビリテーションのエビデンスは少ない。今回、入院中でも退院後でも使える評価法を作成し、治療法比較を行うこととした。平成24年度は評価法のbrush upを行い、訓練内容比較ランダムスタデイを開始した。(1) 高次脳機能障害評価法COPEのbrush up回復期リハビリテーション病棟入院中から退院後まで、どの時期にも一貫して採点できる高次脳機能障害評価法として、平成23年度に骨格を作ったCOPE (Cognition-oriented performance evaluation)を実際の患者に適用して、質問の文章の推敲を行った。64回答のうち、全問回答可能は17回答であったため、回答できなかった理由を検討し、「できる時とできない時がある」,「設問のような場面がない」などが主体理由であった。この面から設問記載内容を変更し、89項目とした。記憶、注意、意欲、感情、共感、遂行の大項目のうち、COPEの記憶とFIMの記憶の相関係数は0.73、COPEの遂行とFIMの問題解決との相関係数は0.69であり、COPEの妥当性が示された。(2) 高次脳機能障害患者に対するrandomized control study高次脳機能障害を主障害とする患者で、入院予定期間が1ヶ月以上である場合を対象とした。対象患者をランダムにゲーム群とドリル群の2群に分けた。ゲーム群はゲーム機Weeを用いた本人の好むゲームを行うこととし、ドリル群では机上ドリル課題を行うこととした。課題実行時間は1日40分で、2週間行った。入院から1週目と4週目を評価期間とし、間の2週間を訓練期間とした。評価は、WIAS-II、WMS-R、CAT、我々の開発したCOPEとした。現在、5例のエントリーを得て実行中である。
3: やや遅れている
平成23年度に評価法を作成し、今後行われるRandomized control studyに使う訓練を組み立てるための調査を行い、それを受けて平成24年度に高次脳機能障害に対するRandomized control studyを行う予定を立てていた。評価法COPEは未だ89項目と項目数が多いものの、FIM認知項目と比較することで妥当性を検証することができ、一定の水準に達したと考えている。評価法の最終完成のためには、数十例を加えて分析を行い、項目の最終選択をする必要がある。訓練2種によるRandomized control studyが開始された。訓練期間が2週間と、当初想定の訓練期間より短くなったのは患者の入院状況を見極めた上での変更であり研究がうまくいかなかったわけでは無い。ただ、エントリーできない高次脳機能患者が想定より多めとなり、解析が平成25年度に持ち越された。その意味でやや遅れていると判断した。
当初予定通り、Randomized control studyの継続を主体とする。用いる評価セットや、訓練機器は平成23-24年度のうちにある程度準備されているので開始に支障は無い。研究が加速するよう、必要な訓練・評価用具を整える。対象患者を増やすために、使用評価法やRandomized control studyの周知を藤田保健衛生大学七栗サナトリウムの教職員に行う。最終的にゲーム群とドリル群の2群間比較を行い、その結果を公表する。このrandomized control studyの例数が増えることで、評価法COPEの完成に向けての項目難易度分析(Rasch分析)を行いやすくなる。統計処理により、COPEの項目数を減少させ、評価法として完成させる。
患者数の増加やニーズの変化に合わせて、検査用紙、ゲーム機用ソフト、データ処理・統計処理等に使用するパソコンなどを購入していく予定である。
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