研究課題/領域番号 |
23500629
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
伊藤 龍生 近畿大学, 医学部, 講師 (40330245)
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研究分担者 |
佐藤 隆夫 近畿大学, 医学部附属病院, 教授 (70162443)
井上 敬夫 近畿大学, 医学部, 助教 (00441006)
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キーワード | 脳外傷 / 酸化ストレス / リハビリテーション / アポトーシス / 運動 / 神経保護作用 |
研究概要 |
(目的)我々は脳外傷後の早期の運動が外傷局所で神経幹細胞数を増加させることを明らかにした。さらに外傷後、早期から長期にわたる運動が脳外傷後に出現する神経幹細胞から成熟神経細胞への分化・生存・維持を促進し、脳外傷後に起こる脳障害や記憶障害を改善するであろうと考えた。本研究では①長期にわたる運動が及ぼす脳外傷部局所の神経再生を明らかにする。②長期にわたる運動による神経再生に伴う記憶学習の改善効果を明らかにする。③長期にわたる運動による神経再生と記憶学習の改善効果の機序を蛋白レベル、遺伝子レベルで明らかにする。以上のことを組織学的、生化学的、生理学的および運動学的手法を用いて解明することを目的とする。 (方法) Pneumatic control injury device(現有機器)を用いてWistar ラット(10週齢 ♂)の大脳表面に脳外傷を与えた。その後、強制運動としてトレッドミル負荷を1日、3回(1回/5分)、15分/1日加えた。運動群、運動後通常飼育群及び非運動群を屠殺し、損傷部位の中心より半径2.5mmの範囲から組織を取り出し、BIOXYTECH® MDA-586 (OxisResearch)を用いて過酸化脂質量(各群n=6)を測定し、運動期間の違いによる脳外傷後の過酸化脂質抑制効果を測定した。運動群において有意な過酸化脂質量の低下が認められた. 。さらに得られた組織切片を用いて8-OHdG及び4-HNEなどの過酸化脂質のマーカーの免疫染色、及びアポトーシスを測定した。運動群では非運動群に比較して陽性細胞数が有意に減少し、運動群で酸化ストレスが少ないことが証明された。運動群では非運動群に比較して脳機能の改善効果が認められた。さらに損傷周囲では神経幹細胞の有意な増加がみられた。 (考察)脳外傷後の長期運動は損傷後に発生する酸化ストレスを減少させ神経細胞死を抑制する。さらに神経幹細胞の増加促進効果に働き脳機能改善効果を有することが示された。
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