研究課題/領域番号 |
23500631
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
氷見 直之 川崎医科大学, 医学部, 助教 (70412161)
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研究分担者 |
宮本 修 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00253287)
岡部 直彦 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30614276)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アミロイドβ / 脳梗塞 / アルツハイマー |
研究概要 |
脳梗塞モデル動物(ラット)を実際に作製し、連続投与の手法の確立を試みた。マイクロスフェアを内頚動脈より注入し脳梗塞を発症させたラットについて、皮質、線条体および一部海馬においても小さめな梗塞部位が確認された。さらに2回目の投与を実施すべく当初予定していた通りマイクロポンプの埋め込みを考えたが、マイクロスフェア粒子が非常に沈殿しやすい性質があり、長期間ポンプのリザーバタンクに懸濁状態を保ったまま貯めておくことが難しいという問題に直面した。これを回避するために、毎回注入部位を露出させて投与を行う方法を試みたが、生体組織や新生血管が発達してしまい、出血リスクの大きい手術をせざるを得ない。そこで微小カテーテルを留置しておき、皮下の注入口からマイクロスフェア懸濁液を注入する方法を試行したが、可動範囲の広い頸部にカテーテルを挿入しているため日常動作によりカテーテルが容易に外れ、出血死に至る恐れが大きい。 微小梗塞を頻発するモデルの可能性としてマイクロスフェア法を採用したが、その頻回投与が極めて困難であるため、光固化性の色素(ローズベンガル)を投与して小さなスポット光を脳表に照射して微小梗塞を発症させる方法に切り替えて検討を続ける。ただしこの方法では脳表に面している大脳皮質に梗塞を形成させることはできるが、光の届かない深部にある線条体や海馬に微小梗塞を形成できない不利があり、皮質表層のみのアミロイドβ沈着を検討する方向で正しいかどうか、さらに情報を収集する必要がある。 また、実験手法の確立と並行して、アミロイドβ沈着について認知症やイメージング関連の各学会および研究会にて広く情報収集を行い、アミロイドβの脳からの排出経路が脳血管よりもむしろリンパ系にあるかも知れないことや、各タイプのアミロイドβに沈着速度の違いがあることなど多くの知見を得たため、これを考慮に入れながら研究を続行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳梗塞を頻発させる手法として当初予定していたマイクロスフェア注入法が、マイクロスフェアの物性、動物への注入カテーテル留置の困難さといった理由により達成できていない。これに代わる方法として、光照射部位に梗塞を発症できる方法を試行中である。
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今後の研究の推進方策 |
光照射により微小梗塞を頻発させるモデルは脳表部である皮質にしか梗塞を作製できないデメリットはあるが、まずはこの方法を採用して、皮質においてアミロイドβの蓄積が梗塞の頻発により加速されるかどうかの検証を早期に行う。さらにマイクロスフェア法の改良について工学分野の研究者からもアイデアを募集し、海馬や線条体など脳深部におけるアミロイドβ蓄積について検討できるように手法の確立を目指す
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次年度の研究費の使用計画 |
新規設備の導入は不要である。よって平成24年度の経費は平成23年度の残額(45873円)と合わせて主に実験動物および色素・抗体などの試薬類を中心とした消耗品として使用する。さらに、アミロイドβの性質やアルツハイマー症を研究している研究者より積極的に最新の知見を収集するため、関連学会および研究機関への旅費としても使用する。
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