研究課題/領域番号 |
23500631
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
氷見 直之 川崎医科大学, 医学部, 助教 (70412161)
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研究分担者 |
宮本 修 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00253287)
岡部 直彦 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30614276)
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キーワード | リハビリテーション / 脳梗塞 / アルツハイマー |
研究概要 |
23年度にマイクロスフェア連続注入にて脳梗塞頻発モデル動物(ラット)の作製を試みたが、マイクロスフェアの特性により困難であったため、24年度は光感受性色素を用いた微小脳梗塞の頻発を試みた。ラットの大脳皮質表面の頭蓋骨を穿孔しておき、尾静脈よりローズベンガル(20mg/kg)を注入し、大脳皮質表面に波長532nmの光を照射し、照射部位に脳梗塞を作製した。3日後に脳を摘出し、パラホルムアルデヒドにて固定後、厚さ18μmの凍結切片標本を作製しヘマトキシリン-エオシン(HE)染色にて梗塞部位を観察した。梗塞部位は大脳皮質の光照射部位を中心とした広範囲に及んでしまい、当研究の狙いである微小梗塞の作製に至らなかった。そこでより小規模な梗塞を発症させるために単一の光ファーバー(径100μm)を経由して光を照射した。光路径が細くなることにより光エネルギーが小さくなることを避けるため、LASER光を光源として用いた。その結果、マイクロスフェア法で得られるようなサイズの微小梗塞が作製できた。しかしながら光照射法では大脳皮質表面にしか梗塞を作製できない欠点がある。脳表のみの梗塞では脳梗塞頻発を狙ったモデルとしては不十分であると考え、脳深部や海馬、線条体にも梗塞を作製させるべく、光ファイバーを皮質表面より刺入し、ファイバー先端が到達した領域に梗塞を起こさせる方法を試みた。ファーバーを刺入することによる機械的ダメージはあるが、ファイバーの刺入のみを行ったsham群と比較して光照射を行った群は明らかにファーバー先端部に梗塞巣が見られたため、これを梗塞頻発モデルとして使用することにした。 一方、アミロイドβ沈着の測定法として染色法およびウエスタンブロット法による半定量やELISA法も併用する。アミロイドβを抽出する方法について、学会研究会などで引き続き技術情報を収集中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳梗塞を頻発させる手法として当初予定していたマイクロスフェア注入法から光感受性色素法に変更したため、微小梗塞の作製の目途は立ったが、光を脳深部に到達させる方法として光ファーバーとLASERを用いる手法を確立させるまで少々時間を費やした。また、アミロイドβの定量法に関する情報収集や試行を並行して行い、梗塞を頻発した組織標本が取れ次第、染色を行えるように準備している。
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今後の研究の推進方策 |
光ファイバーを用いた光感受性色素法を採用したことにより、微小梗塞の頻発が可能となったため、まずは皮質において梗塞を頻発させた標本についてアミロイドβの組織染色および抽出による半定量を行い、梗塞頻発群とsham群間の差異を確認する。差異が確認されたら、梗塞箇所をさらに増やし、梗塞発症頻度とアミロイドβ濃度の相関を確認していく。もし差異が見られなかった場合、梗塞発症部位を海馬や線条体などに変えて同様の実験を行う。さらに、梗塞発症後に運動負荷を与えることがアミロイドβ沈着量にどのように影響するか確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
新規設備の導入は不要である。よって、平成25年度の経費は平成24年度の残額(69,821円)と合わせて主に実験動物および色素・抗体などの試薬類を中心とした消耗品として使用する。さらに、研究総括に向けて学会発表や、当研究の更なる意義向上を目的としてリハビリテーション分野の学会において情報交換を行うための旅費としても使用する。
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