研究概要 |
24年度に検討した光ファイバー刺入による梗塞作製法を梗塞頻発モデルに適用することを試みたが、光ファイバーの海馬領域への刺入による出血が光ファーバー先端を覆いレーザー光の照射を阻害し、安定した梗塞巣が形成されない問題が生じた。微小梗塞が見られた場合においても。複数回の光ファイバー刺入による出血、脳組織の機械的な損傷が、光照射による微小梗塞の部位を面積的に上回り、非梗塞群と梗塞群の比較が困難なものとなった。梗塞の頻発を時間的に再現することが難しいため、空間的に再現するという考え方に切り替え、23年度に検討していたマイクロスフェア注入法に戻した。23年度にマイクロスフェアの総頸動脈からの注入を反復して行うことが困難であるために断念した経緯があったが、単回のマイクロスフェア注入で空間的に広範囲に塞栓を発生させることが可能な点に再注目し、この方法を採用した検討に切り替えた。本研究における注入個数は、運動機能には影響がなく、かつ認知機能(空間認知能)のみが障害される3,000個に設定した。マイクロスフェア径は45μmとした。マイクロスフェア注入7日後より5日間のMorris水迷路試験を行い空間認知能を確認後、パラホルムアルデヒド溶液にて潅流固定し、脳組織を摘出して厚さ16μmの冠状断面スライス標本を1頭につき12枚作製した(スライス間隔を500μmとした)。これらのスライス標本をアミロイド染色試薬であるBSBにて染色を行い蛍光顕微鏡下で観察した。5頭の全スライスにおいてアミロイドの蓄積は確認されなかった。 微小梗塞の頻発がアミロイドβの蓄積を加速させる、という仮説において、同時に複数箇所に微小梗塞が発生する形の「空間的な頻発」は影響が見られなかったが、本来「時間的な頻発」の影響を検証することが目的であったため、梗塞発症後に充分な期間を置くなどの方法で、検討を続行する。
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