研究課題/領域番号 |
23500635
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研究機関 | 熊本保健科学大学 |
研究代表者 |
松原 誠仁 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (60515782)
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研究分担者 |
飯山 準一 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (00398299)
吉村 恵 熊本保健科学大学, 生命科学研究科, 教授 (10140641)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 アメリカ合衆国 |
研究概要 |
本研究の目的は、ラットのin vivo標本を用いて、後肢の運動を誘発し、関節運動、筋および感覚神経ニューロンの挙動を理論および数値シミュレーションによって解析することで、痙縮に対する新たな評価および治療法の開発について検討することであった。 当該年度では、椎弓切除術を施行した雄性成熟ラットを用いて、運動感覚情報を中枢神経系へ伝達する脊髄後根神経節を同定した。その結果、徒手的に誘発された後肢関節運動に起因する感覚神経細胞の発火活動を記録することができるin vivo標本の作成が可能となった。 また、徒手的に誘発された後肢関節運動を、運動計測用のハイスピードカメラを2台用いて撮影したVTR画像を用いて、DLT法により分析点の3次元座標値を算出した。得られた分析点の3次元座標値を用いて、速度および加速度分析などができるようになった。その結果、後肢関節運動を入力値とする感覚神経細胞の発火活動を同時記録することが可能となった。 これらのことは、後肢運動感覚情報を入力値とした神経系の応答特性をin vivo条件下において実測した国内外でも初めての例であり、当該分野においては極めて重要な実験モデルとなる可能性がある。 以上の結果を、第10回日韓科学・心筋・平滑筋合同シンポジウムにおいて公表し、The poster award of the 10th Korea-Japan joint symposiumを受賞した。これらのことから、最適な神経機構の応答を誘発する理学療法(身体運動)の評価および開発に関する基本的な知見の蓄積となったと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では、ラット脊髄後根神経節におけるin vivoでの神経細胞の発火活動記録法確立、ラット後肢関節運動の記録法確立および運動感覚情報を入力値とした筋骨格‐神経系シミュレータの検討を計画していた。 そのうちの2つを計画通りに達成し、得られた結果を公表した結果一定の評価が得られたため達成度を(2)とした。 しかしながら、筋骨格‐神経系シミュレータの検討に関しては着手したばかりである。したがって、目的の達成度は未評価であり、今後早急に取り組むべき課題である。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に確立したin vivo標本を用いて、運動情報を入力値とした筋骨格―神経系シミュレータの検討を行う。また、脊髄損傷および脳卒中などの病態モデルを用いた後肢関節運動に伴う感覚神経細胞の発火活動の挙動を記録する。 これらのことが可能になると、痙縮などの発生機序が明らかとなり、理学療法領域における新たな評価およびアプローチの開発に関する基礎的知見を得ることができると考えられる。 しかしながら、病態モデルラットの使用にあたり、出現する筋骨格系の運動障害の予測が困難であるため、予備実験を行うなど十分に検討する必要がある。 さらに、得られた成果を国内外関連誌に投稿し、国内外の研究者および臨床医家に対する研究成果の還元を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度では、病態モデルの実験に必要な脊髄損傷および脳卒中ラットモデルの作成および関連試薬に対して予算を計上する。これにより、正常モデルと病態モデルの実測値およびシミュレーション結果を比較することが可能となる。 また、得られた成果を国内外の研究者および臨床医家に向けて情報発信するために、旅費、英文構成および投稿費用を計上する。
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