研究課題/領域番号 |
23500637
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
本郷 哲 仙台高等専門学校, 専攻科, 教授 (80271881)
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研究分担者 |
矢入 聡 仙台高等専門学校, 電気システム工学科, 助教 (00447187)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 両耳補聴 / バイノーラル / 視聴覚相互作用 / TS-BASE |
研究概要 |
1)補聴システムの音声のみの主観的評価実験のプロトコル構築 Segmental SNRなどの定量的な評価とともに,初年度は,MOS(mean opinion score)により, 評価を行う実験系を構築し,定量的な主観評価値を得るための実験プロトコルを確立した.ユーザが主観的な評価を行なう実験プロトコルを構築した.実際に,研究代表者らが開発してきた補聴システムTS-BASEを用いて,主観的性能評価実験を行った.2)視聴覚相互作用を考慮した両耳聴補聴システムの主観的評価実験システムの構築 視覚から入ってきた情報と遅れが生じた聴覚情報との不整合が合った場合について,ヒトが感じる違和感の評価を行なうシステムを構築した.構築した実験システムを用いて,今年度は動きのある物体に付加する音声を変えて,違和感の違いを評価することを行なった.初年度に購入した申請備品の高速度カメラにより,遅れ時間を計測するシステムを構築した.また,音声了解度試験を行なう実験音声データ,及び実験室,実験環境を整備し,ノイズを含めて音声単独での音声了解度試験を行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MOS(mean opinion score)により, 評価を行う実験系を構築するとともに,定量的な主観評価値を得るための実験プロトコルを確立し,実際に音声を評価することはできており,ただし,パラメータの最適化までは至っておらず,より多くの音声セットを用いて実験を行なう必要がある.これは,時間をかければ,作業として終了できる見込みがある.視聴覚相互作用の実験においても,精密に遅れ時間等を計測することができるようになったので,今後音声了解度を用いて実験を進める.音声了解度の実験についても音声単独での実験環境を整え,ノイズを含めた実験は完了しており,残りの作業として終了できる計画を終了できる見込みがある.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度実験の追加実験本年度,実験システム,実験環境の構築が終わり,いくつかの実験を行なうことができたが,震災の影響により実験の開始時期が遅れ,計画に若干遅れが生じたため,計画に残された主観的評価実験を行なっていく.平成24年度の研究計画平成23年度に確立された主観評価実験プロトコルに従って,様々な条件下において,TS-BASEの設定値(処理時間窓長や目的音を選択するためのフィルタの係数,TS-BASEにおける選択周波数binのフレーム間忘却係数など)を変え,補聴システムの主観評価を行う.なお,この音声のみの主観的評価実験は,次の視聴覚相互作用を考慮した評価実験と比較することを前提に実験を行う.すなわち,視覚情報を付加した場合の条件と同様な音条件において主観的評価実験を行う.また,本研究代表者らが開発したTS-BASE補聴システム,並びに音声バッファリング装置を用いて恣意的に音声の時間遅れを発生させ,そのときに様々なタスク(会話,作業等)を行う被験者に対して,音声了解度試験,および自然性を主としたMOS等の主観的評価実験を行う.話者が実際に目の前で会話しているのが見える状況下で補聴システムからの音声に様々な遅れ時間を与え,申請備品の高速度カメラにより音声発話の時間遅れを計測するとともに,その品質を評価する.さらに,1)で評価を行う原音声のみの結果と音声バッファリング装置を用いた評価結果を比較することにより,理想的な補聴システムにおける視聴覚の非同期,不整合に起因する認知的違和感を見積もることにより補聴システムが具備すべき要件を追究する.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度(平成23年度)予算から発生した次年度使用額について震災の影響により,当初の実験の進度が遅れ,人による主観的実験が遅れ気味であった.このため,被験者に支払う謝金の支出が小さくなり,研究費の余剰が生じた.次年度(平成24年度)の使用計画計測装置については,概ね整った.本研究では,視聴覚相互作用における時間遅れを評価とともに,音源が移動する場合にその時間遅れがどのように影響を及ぼすかについて,評価を計画している.従って,本年度は,音源の移動装置を作成し,その経費を主に物品費として計上する.また,被験者により評価を行なうので,被験者に対する謝金を十分に含める.さらに,これまでの成果を対外的に発表するための旅費,及び,音の伝搬をシミュレーションするためのシミュレーションソフトウェアのレンタル,及び計算機の経費を研究費の使用計画として含める予定である.
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