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2012 年度 実施状況報告書

長期運動記憶の固定化における登上線維の役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23500638
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

立川 哲也  独立行政法人理化学研究所, 神経遺伝研究チーム, 研究員 (60435659)

キーワード国際情報交換
研究概要

「プルキンエ細胞-小脳核細胞シナプス伝達の特性」
小脳核細胞は小脳プルキンエ細胞から30-40の抑制性入力を受けている。プルキンエ細胞は通常50-100Hzで高頻度発火しており、小脳核細胞は強い抑制を受けている。学習時には登上線維からの入力によりプルキンエ細胞の発火が一時的に抑制され、小脳核細胞の興奮の脱抑制が生じる。これが運動学習における長期記憶の形成に必須であると考えられている。そこで、プルキンエ細胞軸索終末のシナプス前性機構について、周波数依存性、シナプス小胞のリサイクリングについて検討した。実験には代謝型受容体の一つであるGPRC5BのKOマウスを用い、野生型と比較検討した。また、小胞放出におけるカルシウムセンサーとして働くシナプトタグミンを阻害する抗体遺伝子をマウスにウイルスベクターを用いて導入し、プルキンエ細胞軸索終末におけるGABA放出特性について検討した。GPRC5B-KOマウスにおいては、軸索終末に形態異常が見られるにもかかわらず、GABAの放出特性に変化が見られない結果が得られた。抗体遺伝子を導入したマウスとの比較では、導入したマウスのGABA放出において、放出確率、paired-pulse-modulation ratioに優位な差が見られた。これら、二つのテーマは論文投稿準備中である。
「前庭核細胞の興奮性」
小脳プルキンエ細胞のもう一つの出力先である前庭核細胞の興奮性について、腸管ペプチドであるモチリンをスライス標本に投与して、膜興奮性、GABA伝達特性について検討し、論文発表した(Todaka et al.,EJN, Vol. 37, pp. 339-350, 2013) 。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初予定していたより、プルキンエ細胞軸索終末におけるGABA放出特性機構の研究や前庭核細胞での研究が進み、既に発表したものも含め論文投稿の段階にあり、こちらの実験を優先してきたため、小脳核細胞でのシナプス可塑性、登上線維の入力特性の研究はやや遅れている。しかしながら、一酸化窒素NOをKOしたマウスでのシナプス可塑性実験や過分極誘発性陽イオンチャネル(Ih)の阻害剤を投与した実験を積み重ねており、シナプス可塑性時のカルシウム動態の実験を残すのみとなっている。

今後の研究の推進方策

本年度、論文投稿にかかる時間、実験を中断したため、予算の繰越が生じた。次年度は、既に実験で明らかとなった部分をまとめて論文投稿を目指し、詰めの実験を進めていく。

次年度の研究費の使用計画

本年度予定していた電気生理実験の一部が論文投稿準備の期間、実施できなかったため未使用額が生じた。
次年度は、学会発表等、論文投稿のための費用に充当する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Heterotrimeric guanosine triphosphate-binding proteincoupled modulatory actions of motilin on K+ channels and postsynaptic c-aminobutyric acid receptors in mouse medial vestibular nuclear neurons2012

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Todaka, Tetsuya Tatsukawa, Tsutomu Hashikawa, Yuchio Yanagawa, Katsuei Shibuki and Soichi Nagao
    • 雑誌名

      European Journal of Neuroscience

      巻: 37 ページ: 339-350

    • DOI

      doi:10.1111/ejn.12051

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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