研究概要 |
「プルキンエ細胞-小脳核細胞シナプス伝達の特性」 小脳核細胞は小脳プルキンエ細胞から30-40の抑制性入力を受けている。プルキンエ細胞は通常50-100Hzで高頻度発火しており、小脳核細胞は強い抑制を受けている。学習時には登上線維からの入力によりプルキンエ細胞の発火が一時的に抑制され、小脳核細胞の興奮の脱抑制が生じる。これが運動学習における長期記憶の形成に必須であると考えられている。そこで、プルキンエ細胞軸索終末のシナプス前性機構について、周波数依存性、シナプス小胞のリサイクリングについて検討した。実験には代謝型受容体の一つであるGPRC5BのKOマウスを用い、野生型と比較検討した。また、小胞放出におけるカルシウムセンサーとして働くシナプトタグミンを阻害する抗体遺伝子をマウスにウイルスベクターを用いて導入し、プルキンエ細胞軸索終末におけるGABA放出特性について検討した。GPRC5B-KOマウスにおいては、軸索終末に形態異常が見られるにもかかわらず、GABAの放出特性に変化が見られない結果が得られた。抗体遺伝子を導入したマウスとの比較では、導入したマウスのGABA放出において、放出確率、paired-pulse-modulation ratioに優位な差が見られた。これら、二つのテーマは論文投稿準備中である。 「前庭核細胞の興奮性」 小脳プルキンエ細胞のもう一つの出力先である前庭核細胞の興奮性について、腸管ペプチドであるモチリンをスライス標本に投与して、膜興奮性、GABA伝達特性について検討し、論文発表した(Todaka et al.,EJN, Vol. 37, pp. 339-350, 2013) 。
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