研究課題/領域番号 |
23500641
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
巖見 武裕 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10259806)
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研究分担者 |
平元 和彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00261652)
宮脇 和人 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00390906)
佐々木 誠 岩手大学, 工学部, 助教 (80404119)
島田 洋一 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90162685)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 座位バランス / 転倒防止 / 高齢者 / バイオメカニクス / 動作解析 |
研究概要 |
本研究では安全な座位姿勢を用い,外乱で崩れた姿勢をリカバリーする総合的な身体能力を評価できる装置を開発した.体幹の動揺変位を計測するために,光学エンコーダと平行リンクを用いた姿勢計測装置を試作した.これは従来用いていた磁気式の計測装置よりも安価であり,ビデオカメラを用いた計測装置よりも高速にデータを処理できる.また,座面の圧力中心点と反力ベクトルを計測するために,小型の力センサを組み込んだフォースプレートを新たに製作した.本システムでは,姿勢を崩す外乱として座面の角度を変動させる.そして,そのときの身体運動と座面反力ベクトルを計測することで,従来の圧力中心点の軌跡の評価に加えて身体重心や姿勢の変動,脊椎などの関節トルクの評価を行うことができる.さらに,外乱に対する身体運動時の反応時間の遅れを定量的に評価するなど,新たな観点からのバランス評価を行った.バランス能力の訓練・評価を行うためには,実測困難な生体内力を精確に推定するためのモデル解析手法の構築が求められる.そこで,CT,MRI画像をもとに,体幹の3次元筋骨格モデルを構築した.また,人間の座位バランス姿勢制御における前庭器特性を,未知パラメータであるフィードバックゲインや身体パラメータに関するLMIで記述する事によって同定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り開発した動的座位バランス評価装置の有効性を検証するために,秋田大学医学部および県内の高齢者施設において臨床実験を実施し,外乱刺激に対するバランス能力評価実験を実施した.本装置を用いて,若年者と高齢者のバランス能力を評価した結果,高齢者は,外乱に伴う身体動揺とCOPの変動が有意に大きく,座面傾斜に対して姿勢を維持できずに身体を振られていることがわかった.また,固有受容器の微細な姿勢制御機能が劣り,座面変動に対する反応も遅いことから,姿勢保持のためにより大きな体幹の筋力(関節トルク)を必要としていることが示された.さらに,座面揺動の周波数の違いによる評価結果への影響は見られないことから,高齢者を対象とした座位バランス評価の実施には,より安全な0.25Hzの周波数を選択した方が良いという知見が得られた.また,バランス保持制御が,いくつかのフィードバックおよびフィードフォワード制御要素によって行われていると仮定し,LMI に基づく同定手法を用いてそれぞれの制御要素のゲインを求め,実験データをよく近似するゲインを求めることが出来た.さらに,同定された制御則の特徴を調べるために,誤差や座面角度に対するモーメント値(比例制御的要素)と,それらの微分値に対するモーメント値(微分制御的要素)において,顕著な被験者間の差が現れた.本研究にて得られたこれらの結果は,国内の学術講演会において公表した
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今後の研究の推進方策 |
今後は,計測した動的座位バランス能力の相違を用いることによって,バランス保持能力の優劣の定量化や,トレーニングや加齢によるバランス保持能力の改善・劣化の判定可能性について検討する.また,異なる刺激パターンに対するバランス能力を評価すると共に,歩行機能や易転倒性との関係を明確にし,転倒防止への実用的かつ効果的な介入方法について検討していく.さらに,臨床現場で幅広く利用されているFunctional Reach TestやTimed Up and Go Testなどの易転倒性検査を同時に実施することで,転倒リスクを抱えた高齢者の座位バランス能力と歩行機能との関係を明確にし,本人の転倒リスクのレベルや訓練効果を高齢者にわかりやすく提示可能な座位バランス評価・訓練装置の実現を目指す予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品については,座面を揺動する角度を任意に変更できるプラットフォームの開発,視覚情報をコントロールできる投影装置,構築した3次元筋骨格モデルを用いた解析を行う環境(PC,ソフトウェア)の購入に使用する.旅費については,今年度の研究成果にて座位バランス能力を定量化する重要な結果が得られているため,その成果発表を国内外の学会にて発表するための旅費として使用する.謝金については,病院や高齢者施設で計測を実施するため,被験者,実験補助者に対しての謝金として使用する.
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