研究課題/領域番号 |
23500643
|
研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
嶋脇 聡 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10344904)
|
研究分担者 |
酒井 直隆 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90235119)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 電動義手 / MRI / 指腹部 / 把持力 / 有限要素法 / 感性工学 |
研究概要 |
本研究の目的は,ヒト手指を参考にして,電動義手の骨格と表皮の間にpulp構造(柔軟性に富んだ組織)を設置して,安定した物体把持が可能な最適なpulp複合構造および最適なpulp素材を開発する.具体的な研究項目は,(1)ヒト指尖部のMR画像よりpulp構造のモデル化,(2)試作pulpを搭載した電動義手による把持力の計測,(3)有限要素法によるpulpの変形解析,(4)人間が電動義手に触れたときの感性工学的評価,の4つである.障害者の「生活の質の向上」につながると期待できる.自治医科大学の協力により,健常者5名(年齢21~22歳、平均身長170cm,平均体重59kg)に対して,示指のMRI撮影を実施した.白色の斑状となっている部分が血液を多く含むpulp部分である.得られた画像より,pulp部分の外周を輪郭抽出用ソフトウェアSURF driver(ver.4.0,David Moody and Scott Lozanoff)を用いて抽出し,指軸方向に積層することで立体的な指尖部内pulp形状を構築した.このデータを用いて,電動義手に搭載する試作pulpを製作する.被験者より代表を1名選定して,指節骨および皮膚の輪郭も同様に抽出し,有限要素法(ANSYS LS-Dyna,サイバーネット社)の指モデルを作成した.指節部を平面圧迫した場合の数値解析を行い,ヒト指の変形挙動を解析した.このデータは次年度実施予定であるpulpを搭載した電動義手の圧迫挙動の数値解析と比較される.次年度の実施予定は,試作pulpを搭載した電動義手を製作し,把持力などを計測する.また,有限要素法により,この電動義手の指部における変形挙動を解析する.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度実施予定であったMRI撮影が終了して,ヒト指のデータ取得は完了した.また,有限要素法によるヒト指の変形挙動解析も完了した.予定していたpulp形状の製作と電動義手への搭載がまだ完了しておらず、次年度に実施する予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
本年度得られたpulp形状を基に,電動義手に搭載するpulp形状を決定し,pulpを搭載した電動義手を製作する。これを用いて、円筒物体などを把持した場合の把持力を計測する。また、この電動義手の有限要素解析を行い、ヒトデータと比較する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
電動義手に搭載するpulp、表皮を試作する.把持力を計測するためのグローブスキャンシートを購入する。有限要素法ソフトウエア(ANSYS LS-Dyna,サイバーネット社)をレンタルする.
|