研究課題
平成25年度はこれまでに収集したデータを解析し、一定の結果を得ると共に、得られた知見を論文として発表した。平成24年度までデータ収集先を近隣(石川県能美市)の介護施設に限っていたが、新たに東京都内を主たる活動の場とする団体の協力を得て、都内のグループホームにてデータ収集を始めた。平成24年度までは主に入居者らの行動を調べていたが平成25年度は介護者らの行動調査に取り組んだ。そこから新たな研究課題を見出すことが出来た。研究期間全体を通じて、認知症対応型介護施設における入居者の行動をデータ化し、解析する手法を確立した。研究により転倒事故の前兆や老衰の兆しなどが検知できる可能性を示した。これらの成果は高齢者の生活の質を高める上で有益である。一方、調査を通じて介護施設の多様性が明らかとなった。得られた結果の汎用性については今後より多くのデータを集めて検証していく必要がある。介護者の行動推定については、得られた(過去の)データから行動を推定するよりも、よりよい介護の仕方を探索することの方が重要であり、また介護者からの期待も高いことがわかった。つまり仮説検証よりは発見を促す仕組みが求められている。これらの知見は次の研究に生かしていきたい。扱う対象の性質上、プライバシーの問題は重要であるが、この点については欧州の研究者らと交流する機会があり、有益であった。プライバシーの考え方や感じ方は国や地域によって大きく異なることがわかった。立場を異にする人々の議論に加わることが出来、今後の研究の進め方についていくつかの指針を得た。高齢者介護は社会的に重要なテーマなので、研究成果を社会に還元していくことを今後とも重視していく。
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Dementia
巻: 0
10.1177/1471301213493798
社会技術研究論文集
巻: 10 ページ: 42-53