平成25年度においては,当初の計画ではそれまでの研究成果であるデバイス群をウエアラブルなシステムとしてまとめることを最重要課題としたが,24年度までに生じた研究の遅れから各デバイスのブラッシュアップが中心となるにとどまった. スピーチバルブ形状の最適化に関しては,24年度にバルブ内部の渦流による圧力低下を整流板で低減可能であることが確認されたため,その最適化設計を進めた.また,圧力損失だけでなく流速にも着目して研究を行い,その結果,高い流速と低い圧力損失を同時に満たす形状は求められなかった.従って形状最適化のためには,呼吸困難に対するそれぞれの影響を評価する必要があると考えられる. 制御ユニットに関しては,目で見ずに微調節を可能とする形状を模索してきたが,ユニット筐体内に小型ローラーを用いて人差し指で調節する方法を提案し,モックアップを用いた試用評価を行った.その結果,本形状が適していることが明らかとなった.また本形状は誤作動を減らすことにもつながった. 発声補助用小型ポンプに関しては,流路形状の最適化を進め,10個使用する小型圧電ポンプデバイスからの配管の集合方法に関する考察を行った.その結果,一箇所で集合させるよりも段階的に集合させる方が優れた特性を持つことが明らかとなった. 人工喉頭に関しては,より多くの被験者による制御パラメータの最適化を行った.その結果,実際に使用する制御パラメータを同定する際の手法についての方針を決定することができた.また,幼児(5歳児)を被験者とした測定も行い,その制御パラメータは幼児でも成人とほぼ同じ傾向が見られた.さらに制御精度の向上が確認され,以上のことより将来的な発声補助システムのハブとしての役割に期待が持てる.
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