研究課題/領域番号 |
23500651
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
矢野 澄雄 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20115306)
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研究分担者 |
福田 博也 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (90294256)
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キーワード | 骨強度指標 |
研究概要 |
骨の質・強さ指標を検討するため、(1)非荷重骨である前腕部での方法から荷重骨である下肢での方法に発展させる (2)骨に負荷となる筋力との関係を検証するための力・負荷に関する測定機器の開発をめざす。まず、荷重として前腕骨では曲げ、下肢骨では曲げおよび圧縮という点を踏まえて、センサに用いるフィルム自体での曲げと圧縮に対する力学的特性を検討した。このうち無負荷でのフィルム全体の曲げは、一定の曲率以下では小さな一定出力であるが、それ以上の大きな曲率になると急激に出力も大きくなる特性がみられる。腕や足ではそれ程大きな曲率にはならないので、力を感じる部分(受圧面)以外からの影響は小さいと考えられる。計測に使う場合、限界の曲率を考慮した受圧面の大きさと、受圧面内をフラットに保つ工夫の方が原理的に重要であることわかった。これらの基礎的検討により、計測面での見通しが立ってきたようである。 次に、力センサの受圧面をどのように配置すれば力の計測が妥当かの基準を見出すことが重要になる。下肢(荷重骨)の足底部で床反力を推定する場合には、センサの受圧面を力のかかる接触領域内に最低二つ配置することが必要という基準を見出した。これは振動モードのとらえ方と同様の考え方である。測定対象者の身体サイズにより、センサ位置が力の中心からずれても二つでカバーできているようである。(2)の装置化に関係して、力の推定に大きな意義のある測定基準が得られた。 また、提案する骨の強度指標と筋肉の負荷の関係について、前腕骨CT画像を利用して筋肉部分と考えられる総面積を算出してみた。負荷を筋断面積で代用して評価できるか検討してみたが、提案する骨強度指標との相関はあまり高いとは言えないようである。原因としては、骨密度の測定に使った前腕20%断面では、筋肉としては太い部分ではないということも考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨と筋肉の荷重関係を検討する目的のため、フィルムセンサの力学的特性を把握できたことと、下肢で測定する場合の力センサをどう配置するかについての知見が得られた。装置としての製作は工夫・改良しながら継続中であるが、平成24年度に検討すべき課題はおおむね計画どおり進んでいる。次年度に計画していた筋力の関節角度との関係の測定準備をすることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
回路等の改良やデータの解析表示方法は、共同研究者とより連携を深めながら進めていくことにし、人間工学的なユーザインターフェースも含めて装置にまとめていく。骨と筋肉の荷重関係の検討については、フラットな受圧面に加わる垂直方向の力を検出という単軸荷重の仮定で進めてきたが、せん断力などの影響も確認しておく。またこれまでの測定で気づいた問題点や荷重と関節角度との関係などにも考察を加える。
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次年度の研究費の使用計画 |
センサと力覚ソフトウエアの購入により、加えた方向だけでなく3軸方向の力成分を考察しながら測定できるようにする。二つの測定器のデータ間をつなぐ同期信号を入れられるように、ケーブルや電子部品等を購入してインターフェイス回路や保護回路を製作とプログラミングする。また学会等に参加することにより、生体計測やセンサ技術の新しい情報を得ながら製作と課題検討を進める。そして研究成果をまとめて学会発表や論文投稿していく。
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