研究課題/領域番号 |
23500653
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
柴田 論 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (10263956)
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キーワード | ヒューマンロボットインタフェース / 首振り指示 / 全方向移動ロボット / レーザポインタ / 感性的効果 |
研究概要 |
手先や音声により同じ部屋等の身近なロボットに指示を与えることが出来ない人間にとっては,首振り指示のみによりロボットを思い通りに操作できれば理想的である.操作者がロボットをある場所に止めておきたい場合は停止モードとしてその場にロボットを停止させ,逆にロボットを動作させたい場合は追従モードとしてロボットを操作する,といったモード切り替えを導入し,首振り指示により操作・停止を容易に行えるシステムを構築した. それは,ロボットの前方床面とロボット本体のパネルを用いて,その部位にレーザ光点を照射し,照射時間を測定することにより切り替えを行うものである.ロボット本体のパネルは,発行ダイオードにより領域を示し,環境に設置したカメラにより画像処理を通じてその領域内にレーザ光点が入っているかどうかを認識し,一定時間入っている場合は操作者が停止に意志を持つものと判断して,停止モードへの移行を行う.ロボットを停止させた状態から再びロボットを動作させる場合はロボット前方床面の長方形のエリア内に操作者がレーザーの光点が入るように首振り指示を行う.そしてレーザーの光点がこの長方形のエリア内に 照射されたことをシステムが認識したとき,停止モードから追従モードへ切り替わる.以降はロボットがレーザーの光点に追従して動作する. また,ロボット本体にステレオカメラを2台装着し,環境のカメラでは死角になる位置や障害物が存在する場合でも追従が行われるようにシステムの改良を行った.これにより,環境のカメラで死角になった場合の追従に成功するだけではなく,デッドレコニング(オドメトリシステム)により生じた誤差を,搭載したカメラを用いて補正することに成功した.これにより,操作者が意図した位置からのずれをシステムが補正することが出来た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は,オムニホイールを用いた全方向移動ロボットの製作は,低振動型オムニホイールを足回りにモータ,モータドライバ,コンピュータをロボットに搭載し,それらの制御システム構成に成功した.また,環境にカメラを配置して,そのカメラを用いて操作者のレーザー光点を認識するための画像処理システムの構築に成功している.また,操作により運動するロボットが心理的に好ましいものとなるための感性伝達関数をソフトウエア的に実現し,その効果を確認している.これらは当初の計画通りである. 平成24年度は,操作者がロボットをある場所に止めておきたい場合は停止モードとしてその場にロボットを停止させ,逆にロボットを動作させたい場合は追従モードとしてロボットを操作する,といったモード切り替えを導入すること,およびロボットに複数のカメラを搭載して,それによりレーザ光点の認識を寄り安定化させることを目標としていたが,いずれも目標を達成し,その効果を確認している.
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今後の研究の推進方策 |
システムの性能向上のため追従モードでロボットを操作する際,カルマンフィルタを用いて指示点を予測することで,人が操作者とレーザー光点の間を横切る場合でも操作者が意図した指示に近いものにすることを試みる. また,レーザーポインタの探索を効率的に行うために,次時刻の位置の予測をしながら探索を行う方法が有効であると考えられる.予測を用いて状態の推定を行う方法として,非線形なモデルに対しても適用可能であるパーティクルフィルタを用いて,次時刻のレーザー光点の位置を予測しながら追跡を行う方法について検討する. そして,本研究の成果を発信するため,および関連研究分野の動向を理解し今後のアプローチにつなげるために学会等に活発に出席する.
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次年度の研究費の使用計画 |
本システムにおける消耗品であるレーザーポインタ,発光ダイオードなどの性能の劣化が考えられるので,それらの補充を行う.また,カルマンフィルタやパーティクルフィルタによる計算処理量の増加が考えられるため,コンピュータにおけるメモリを増強し,リアルタイムで処理が行えるようシステムを改良する. また,学会等に積極的に出席するための旅費として使用する.
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