研究課題/領域番号 |
23500655
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
松本 三千人 富山県立大学, 工学部, 教授 (90373539)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 移動支援 |
研究概要 |
1)要支援者の高精度な位置特定手法の確立について:GPS、無線LAN、RFID等を利用したものに関して、それぞれの手法の位置特定精度、特徴、コストを比較評価した。また、各手法が利用可能な場合について、位置特定精度を最も高められる最適な組み合わせを可能とする仕組みを構築した。また、遠隔地から視覚障害者自身によって送信されてくる視覚障害者の周囲の映像を基に位置特定する手法について検討した。具体的には、富山市内の約50か所の交差点のパノラマ画像を登録し、送信されてくる映像とマッチングさせることによって、視覚障害者の位置と向いている方向が推定可能な事を確認した。これにより、遠隔からのナビゲーションの可能性を確認できた。 2)支援者と視覚障害者の意志伝達手法及びナビゲーション手法の確立について:我々が開発している音声地図による経路案内を視覚障害者に聞いて頂き、聞き間違いを起こしやすい言葉に関するヒアリングを実施し、音声地図作成の参考とした。 3)経路のイメージ化手法の確立について:視覚障害者が頭の中で経路を2次元的にイメージする方法として、触地図による方法を検討した。指による線の太さの認識精度、記号の認識精度を実験により明らかにした。また、実証実験を通して、触地図を階層化(同じエリアの地図を詳細版と簡易版に分ける)する事によって、経路をよりイメージし易くなるとのコメントを得る事が出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)要支援者の高精度な位置特定手法の確立については、GPS、無線LAN、RFID等を利用したものに関して、それぞれの手法の位置特定精度、特徴などについて整理できた。また、遠隔地から送信されてくる視覚障害者の周辺映像と事前に登録された映像をマッチングさせ、視覚障害者の位置と向いている方向を推定可能な事が確認できた。これらの結果については、国際会議において発表を行った。 2)支援者と視覚障害者の意志伝達手法及びナビゲーション手法の確立については、音声地図による経路案内で間違いやすい、あるいは誤解され易い言葉を視覚障害者からヒアリングし、音声地図作成に反映させた。ただ、どういう説明をした時に、それを聞いてどう行動したのかを実証実験時に撮影した映像から分析する予定であったが、この部分については未実施となっている。 3)経路のイメージ化手法の確立については、触地図に関する基礎実験を実施し、有用な知見を得た。また、実証実験を通して、触地図の階層化の有用性についてのコメントも得る事が出来た。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度計画:経路のイメージをより確実にするために、音声地図と触地図を併用する事の有効性を検証する。また、音声地図に関しては、視覚障害者の歩行能力に応じた経路説明を視覚障害者自身が選択できる仕組みを構築する。触地図に関しては詳細地図と簡易地図として階層化し、その有効性を検証する。また、23年度に実施した要支援者の位置特定手法の確立、音声地図と触地図を併用したナビゲーション手法の検討結果を統合した「遠隔からの移動支援システム」のプロトタイプを構築する。 平成25年度計画:24年度までに構築したシステムの実用性を検証するために、富山市内を中心に、複数回の実証実験を実施し、改善点の抽出とそのフィードバックを行い、システムの実用性を向上させる。なお、実証実験を実施したエリアの経路情報はデータベースとして蓄積し、そのまま、視覚障害者の移動支援に活用できるように考慮する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の主な使用計画を以下に示す。(1)触地図作成のための印刷機、音声地図配信のためのプレクストークなどの購入。(2)実証実験実施のための機材購入、実験協力者、実験補助者等への謝金。(3)音声地図作成のための経路情報収集作業。 上記のほか、一般消耗品類、電子部品等の購入。また、成果発表のための学会参加費、旅費などに充てる。
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