研究課題/領域番号 |
23500657
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研究機関 | 植草学園大学 |
研究代表者 |
宮坂 智哉 植草学園大学, 保健医療学部, 准教授 (10404758)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 福祉用具 / 支援機器 / 入力スイッチ |
研究概要 |
研究の目的:本研究は、Amyotrophic Lateral Sclerosis (筋萎縮性側索硬化症;ALS)などの進行性神経筋疾患の患者(対象者)に対し、高解像度カメラを検出部とする画像センサを用いて、眼球、瞼、表情など顔面周囲のわずかな随意性運動を入力源とする入力スイッチを開発する。長期間意思伝達支援が可能な透明文字盤の特長を生かして、随意性運動機能の低下、運動可能な箇所の減少に柔軟に対応し、使用にあたって対象者には身体的負担を少なく、介護者には設置時の負担を少なくすることを目標とする。装置の開発により、対象者と介護者との意思伝達を継続的に支援することを目的とする。平成23年度の実施内容:1.入力スイッチの仕様決定:入力スイッチの仕様は、CCD カメラを使用者の前方に設置して、撮影範囲に使用者の顔面が入るようにした。入力方法は顔面周囲の随意性往復運動を入力源とし、中立位をOFF、運動時の状態をON とした。2.随意性運動システムの構築:入力スイッチの仕様設定に基づいて、「随意性運動システム」を構成し、導入した。装置の構成は、使用者の顔面周囲を詳細に撮影する500 万画素CCD カメラと、高速で低価格の30万画素CCDカメラで画像データを取り込み、随意運動を検出してON/OFF の接点信号を出力する専用ソフトウェアとパーソナルコンピュータとした。2台のCCDカメラは用途に応じて使い分けることにした。3.検出方法の検討:検出可能な随意性運動の部位として、眼球、瞼、眉、眉間、頬、口角、下顎とする。運動の検出は、顔面の中立位と、随意運動実施時の画像データを取得し、画像の明度から、運動に関与しない部位の座標と運動した部位の座標を求め、それらの距離から運動の検出を行う方法とした。500万画素カメラを用い、概ね1mmの変化を検出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度の計画のうち検出方法の検討において、運動の検出は、1.顔面の中立位と、随意運動実施時の画像データを取得し、画像の明度や色度から、運動に関与しない部位の座標と運動した部位の座標を求め、それらの距離、角度から運動の検出を行う方法、2.随意運動周辺の一定範囲を分割し、分割したマトリクス内の明度や色度を変数として、それらの平均値の差を検定して運動の有無を判定する方法、3.研究者が発案した、多変量解析を用いるパターンマッチングをして、運動の有無を判定する方法の3つの方法を検討した。このうち1.は達成したが、2.3.は24年度も継続して実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の予定随意運動検出、接点信号出力アルゴリズムの検討として、主に以下の2項目について実施する。1.検出方法の検討:随意運動周辺の一定範囲を分割し、分割したマトリクス内の明度や色度を変数として、それらの平均値の差を検定して運動の有無を判定する方法、また、研究者が発案した、多変量解析を用いるパターンマッチングをして、運動の有無を判定する方法などを検討して、検出アルゴリズムを作成する。2.誤作動の防止対策、接点信号の出力方法の検討:操作時に考えられる誤作動の発生要因として顔面の位置ずれや入力スイッチ操作以外の運動、周囲照度の変動を考え、それらの条件を変化させてデータを取得し、誤作動の要因を排除する方法を検討する。また介護者の設置から出力に至るまでのアルゴリズムを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費使用計画主に以下の3項目について支出を予定している。1.入力スイッチに必要な機材、システムの購入2.国際会議(ACPT;アジア理学療法連盟学会 2013年台湾台中市予定)発表準備3.研究打ち合わせ(東海大学生物理工学部、北海道工業試験場;札幌市)
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