視覚障害者から支援ニーズの高い「買い物」という日常生活行動を対象として,商業施設において視覚障害者を的確かつ快適に目的の売り場および商品へと誘導する機能を備えた,立体音響を用いた拡張現実ナビゲーションインタフェースの開発を行った.開発においては,ISO9241-210「対話型システムの人間中心設計」に準拠することで,機能性だけでなく視覚障害者の認知行動特性を実験的に踏まえたユーザビリティを備えたシステムを目指した.実証実験の結果,これまで大変困難であった,単独で店内を歩行しながら目的の商品を手に取り,レジにたどり着くことに成功し,機能実証に成功した.また,従来の音声誘導と触地図を併用した誘導方式に比べ,有意に高い速度で歩行できており,精神的作業負担も有意に低かった.このことから,機能性だけでなく高いユーザビリティも備えている可能性が実証された.
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