研究課題/領域番号 |
23500665
|
研究機関 | 久留米工業大学 |
研究代表者 |
松田 鶴夫 久留米工業大学, 工学部, 教授 (60258598)
|
研究分担者 |
山本 耕之 久留米工業大学, 工学部, 准教授 (40158275)
林 佳彦 久留米工業大学, 工学部, 准教授 (20164973)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | リハ支援装具 / 遊星歯車 / 筋電図 / FFT / モジュール |
研究概要 |
高減速比軽量薄型関節駆動機構の開発計画 2種の遊星歯車層の積層減速機構は1/535減速を達成した。層間歯数差を最小の1として外側の内歯車の層間差動を最小にする原理を用いた。両層間の遊星車を一体形としたため、噛み合い効率を30%以上にすることは困難であった。この克服のため、新積層式遊星歯車機構を設計した。(1)遊星車数を増し、層間で一体とせず共通キャリヤの表裏に配置し、層厚を3mmを目指した。両層太陽歯車直径は大きくし,これを一体形とした。層間差は直径差とした。これを微少差とするためモジュールは自由に選んだ。(2)2層内歯車の外縁に2個、両層合計で4個のクラッチを挿入付加し、固定と駆動(開放)の入れ替えが、同時相反的できる機構とし、モーターは一定回転でも関節の正転逆転、つまり屈伸を可能とした。(3)2種3層から2種2層の積層に構造変更し、歯車全てにピッチ円円盤を抱き合わせ、これを転がり接触させて軸受け省略を図った。制御環境計画 モジュールとして組み込み可能な筋電図導出装置ならびにFFT解析可能な装置の開発に重点を置き、作動増幅ならびに逆相信号発生機能を持つ筋電図導出用アンプを作成した。基板外形は約45mm×25mmであり、中点電位作成回路を利用した乾電池駆動を可能とした。また、本機再現性についても試作機を6台作成し、学生が組み立てを行っても所定の性能を発揮できる物を作り上げた。FFT解析装置に関しては、dsPIC30F3013を中核に、バイアス点調整ならびにプリゲイン獲得のためのアンプを組み合わせて、音声帯域におけるFFTアナライザを試作した。現在は装置のサンプリング速度等を調整し、およそ5Hzステップで5-50Hz範囲のFFTを計測可能な装置として調整中である。基板外形はFFT装置単品で60mm×45mmであり試作レベルでの組み込みには必要充分なサイズとした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ギア部について 自由モジュール歯車の放電加工で歯車で2層はそれぞれ0.91mmと1.00 mmとし、層間で太陽歯車の回転数に対して、2層の内歯車の固定と駆動を入れ替えた場合で+1/451とー1/450の減速比を得ることを実証した。大径プーリーを大陽歯車側とし、直流定回転モーター側の小プーリーで最終的にさらに1/10減速することを目指している。プーリー駆動用ベルトは直径1mmのスチールワイヤー等を検索中である。クラッチ機構は摩擦面を検討中である。関節ハウジングの厚さは16mm,直径は100mmとなり、従来の1/2薄型, 1/3軽量化となる見通しである。制御環境達成度 平成23年度に必要な生体用モジュールを組上げたという点に関してはほぼ100%と言える。しかしながら、現場持ち込みにおけるシステム相互を結ぶ通信系の見直しを現在行っており、こちらは本年度の新たな課題となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
減速機構部 減速機構の歯車部分についてはほぼ完成しているが、クラッチ機構は両層内歯車最外縁に円筒上に一条のV突起をもつ形状を同じ直径位置に配置してこれを円筒の内側とV溝のある円弧状外側シューと内側の円弧状平型シューで挟み込む方式を試作している。この完成を待ってハウジングに収めたクラッチ機構が確実に働くかの検証を行う。設計した機構は、2層間の遊星歯車機構の内歯車の同じ直径の外縁を瞬時に固定と開放の入れ替えをするものである。関節の前後で開放と固定の切り替えが同時に逆に、また瞬時に機構が可能であるかが重要であり、油圧、空気圧式、電磁式等を考慮した詳細な検討を行う。 制御環境部 現段階ではギア部のブラッシュアップ待ち状態にあり、その期間を利用してモジュール間通信の見直しを行っている。これはモジュール用チップのバージョンアップ(PIC16F84A->PIC16F819 or 88への置換)に伴い発生し、これに合わせて各種コマンドの見直しと無線通信プロトコルの追加を画策する物である。本年度はこれらを一つの柱とする予定である。 一方、今回試作している制御環境はそれ自体が汎用性が高く、自在な応用が利く物である。現在はこれを用いて産業医科大学(蜂須賀教授、北九州)との共同研究を模索中である。具体的には、麻痺者回内回外運動支援装置開発における本筋電導出装置とマイクロコントローラを用いた制御システムへの応用である。また、現時点でも昨年度に開発した筋電図導出装置を活用した小型の把持運動訓練装製作(学生卒論)等も進んでおり、気軽に生体信号を用いた各種制御ユニットとしての応用が始まっている。さらに久留米養護学校の協力を得る事で四肢不自由な子供から筋電図を導出し、これにプロセッサ処理を行いゲーム機に送る事でゲーム操作が可能なヒューマンインターフェース装置の開発にも着手している。
|
次年度の研究費の使用計画 |
減速機構部主としてクラッチ機構 クラッチ機構の試作及び、ハウジングの追加加工の外注費用に主に支出することとなる。 制御環境部 dsPIC開発のためのコンパイラのバージョンアップを行う。また、ハードウェア各種試作に関する必要なパーツ等の購入が主になる。 尚、開発用コンピュータOSのバージョンアップに伴う、従来までの機体の性能不足が無視できないレベルになってきたので、可能であればノートタイプクラスの計算機と、幾つかのアプリ購入を行って行きたい(ただし、ハード開発に支障のない程度とする)。
|