研究課題/領域番号 |
23500665
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研究機関 | 久留米工業大学 |
研究代表者 |
松田 鶴夫 久留米工業大学, 工学部, 教授 (60258598)
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研究分担者 |
山本 耕之 久留米工業大学, 工学部, 教授 (40158275)
林 佳彦 久留米工業大学, 工学部, 准教授 (20164973)
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キーワード | リハ支援装具 / 遊星ギア / 筋電図 / PIC / QOL / Wii / 太鼓の達人 / 把持運動 |
研究概要 |
減速機構部について:本年度はクラッチ機構を重点的に検討開発した。相反クラッチ機構として、モーター一定方向回転で順転、逆転ができる機構として設計し試作した。構造的には,2相の遊星歯車機構の内歯車の最外縁部に軸方向の2条の三角山を加工して摺動面とし、特殊工具で旋盤仕上げをした。クラッチバッドもこの2条のメス型断面の形状のリング状に加工した物から円弧状にセクトにして切り出した物をセクト端で固定して、これを歯車外縁の2条溝に押し当てることでクラッチの構造とする計画であった。結果的には2条山加工が1mm以内に1個程度と非常に微細となり、山のオス、メスのアタリ(密着度)の達成が100の1mm以上の精度を要することが分かった。 制御環境部について:当初使用していたPIC素子を上位種へ変更する目的を完了した。また、筋電図導出ならびに制御環境は2ch型の装置へと試作拡張完了した。本装置の実証試験を目的として、被験者より導出される筋電図の閾値を読み込み、外部装置(ここではWii(市販ゲーム機)のコントローラ)制御が可能な装置試作に成功した。これにより昨年度の把持運動訓練支援装置に続いて、QOL向上のための訓練支援装置としての展開を計る事ができた。これにより、本装置がヒューマン対マシンインターフェースとして使用可能である事を多角的に検証できたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
減速機構部:クラッチ機構が順調に進んでいるとは言い難く、これが本プロジェクトの遅延する最大要因である。試作機の理論的再考と試作精度の向上等が必要とされる 制御環境部:筋電図導出部のハードならびにソフトはほぼ順調であり、通信環境も基礎的な整備は完了した。また、副産物的に作製したQOL支援機器も2台を完成させるに至っている。本年度はこれを久留米大学医学部に持ち込み、実地検証を行う予定で進めている。 しかしながら本論たる減速機構部が十全ではないため、全体としてはやや遅れていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
減速機構部について: 本年度の各種試作過程でクラッチ組み込みに問題が発生する事がわかった。そこでクラッチの摺動面を円周の外縁半径方向に向けに改め、歯車の軸方向に平行な軸にカムを3/100mmの段差に軸前後で、相反するように工夫する。これを実現するための実際の加工では、摺動面の山は半径方向に三角突起を持つ1条であるが、円形にセクトした円弧状バッドと摺動面は最大歯車の最外郭のクラッチ摺動面の加工精度によるものか、まだ断、接の明確な切り替わり反応が得られていない。加工精度によるものか、機構全体のバックラッシュによるものかについて探索する。原因が機構のバックラッシュではないとすれば、カムの偏心量を3/100以上に引き上げる必要がある。バックラッシュとすると,機構全体の加工精度の見直しが必要となる。今年はこの相反クラッチの断接の明確な切り替わりを追求すると同時に、クラッチ機構を固定して,モーターの正転逆転で耐久試験をする予定である。 制御環境部について: ギアが未完成ではあるが、当初設定数のギアがあると仮定して、現在各部位毎に単独で存在する各種制御環境と筋電導出による制御環境•FFTによる解析並びに外部との通信環境をシステムとして整えることが本年度の目的である。 ギア試作後に、これに最適なモーターの選択と制御環境の再考察が必要になる場合もある(機構が現状よりも複雑になるため)。
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次年度の研究費の使用計画 |
減速機構部について: クラッチ機構の試作及び、ハウジングの追加加工の外注費用に主に支出することとなる。 制御環境部について: ハードウェア各種試作に関する必要なパーツ等の購入が主になる。また、学会参加費等にも使用する。
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