研究課題/領域番号 |
23500675
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木下 博 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60161535)
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研究分担者 |
伊東 太郎 武庫川女子大学, スポーツ健康科学部, 教授 (40248084)
門田 浩二 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50557220)
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キーワード | 精密把握 / 把握力 / 持ち上げ力 / 軽量物体 / 安全領域 / 滑り係数 / 把握面 / 重量 |
研究概要 |
本研究では、100g以下の軽量な小物体の精密把握持ち上げ運動における把握力と持ち上げ力(重量)の協調機能および把握力の余剰分である「安全領域:safety margin」の調節機能、それらと指先の皮膚の摩擦係数の非線形的変化、および皮下の組織の弾性(ステイフネス)変化との関係について明らかにすることを全体の目的とした。平成24年度では、昨年度に製作された超小型軽量を用いて20名の健常成人と20名の高齢者を対象として本実験を実施した。さらに昨年度製作されたポジションセンサーと力覚センサーを用いた指先の皮膚下組織のステイフネス計測装置を用いて予備実験のデータ収取も実施した。また、本研究用に開発したMATLABによるデータ分析ソフトを用いて、それらのデータ解析を行い、把握運動時の力と時間変数(把握力最大値、把握力および持ち上げ力の微分最大値、安定把握時の把握力および持ち上げ力、滑り発生時の把握力、滑り係数、把握力の安全領域値)を求めた。それらの統計的な検討は現在進行中である。ポジションセンサーと力センサーを用いた指先の弾性変化、および把握指の接触面積と力関係に関するデータ解析プログラムを完成させた。これまで得られた本研究の成果を、カナダ・バンクーバーでの国際学会(Progress in Rehabilitation Research, 平成24年10月9日~13日開催)、国内学会(日本体力医学会、岐阜大学:平成24年9月14日~16日、および運動学習研究会、大阪大学:平成24年2012年6月17日~18日)での発表も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた実験はすべて完了でき、健常成人を被験者としての把握実験とそのデータ解析は終了した。さらに、高齢者に関するデータの収集もおおむね終了できた。指先のステイフネス計測、力・-面積関係に関する予備実験のデータ収集も完了し、その解析ソフトも完成できた。これらのデータに基づき、その成果を国際学会および国内学会で発表することができた。昨年度に申請した内容をすべて遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、本年度より健常な成人および高齢者を被験者とした指先のステイフネス計測、力・-面積関係に関する本実験を開始し、そのデータをすべて解析する。追加実験として把握時の随意的な最小の把持力の計測を健常成人10名で実施する。さらに脳障害患者5名程度での実験も実施する。 学会活動として本年度開催の国際学会(北米神経生理学会:アメリカおよびアジアリハビリテーション学会:台湾)と国内の学会(バイオメカニズム学術講演会:埼玉)で現時点までの成果公表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、昨年取集した指先のステイフネス特性データ、面積・力関係データの解析を行うための解析補助者の人件費、健常成人での追加実験、および脳機能障害者を対象とした実験での被験者謝金、それらのデータ収集補助者とデータ解析補助者への人件費、国際学会にて成果公表のための旅費(アメリカ、台湾、埼玉)への出張旅費を計画している。
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