研究課題/領域番号 |
23500679
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研究機関 | 上武大学 |
研究代表者 |
竹内 成生 上武大学, ビジネス情報学部, 講師 (10329162)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 経蓋磁気刺激 / 事象関連電位 / 行動修正 |
研究概要 |
本研究は高次な人間行動の根源であり,かつ日常行動の大半を占める『予測-遂行-評価』の行動様式における各処理段階の機能連携について解明することを目的としている.研究者はこれまでに,予測と評価の機能連携に関する研究として,行動の成否に関するフィードバック情報呈示と同時に経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation; TMS)を阻害刺激として与え,フィードバックエラー関連陰性電位(feedback error-related negativity; fERN)の頂点潜時の遅延と行動変化を報告した(Takeuchi 2010, ICCN2010).この結果を受け,本研究では予測と遂行機能に着目し,対応する事象関連電位である刺激前陰性電位(stimulus preceding negativity; SPN)と反応性エラー関連電位(response locked error-related negativity; ERN)を生理指標とする.具体的にはエラー誘発課題遂行下において,遂行処理段階をTMSによって抑制し,成功と失敗に伴う予期-遂行-評価の処理過程とその機能連携を明らかにする.本研究によって得られる知見は,認知と行動制御に関する疾病・障害への理解に加え,危険回避・安全,競技スポーツなどへの応用などが期待される.平成23年度における研究の進捗は,本研究遂行で必要となるTMSと同時使用可能な脳波計測機器の導入,ならびに測定に伴う環境整備を実施した.また,本研究で用いる課題作成に取組んだ.これら進捗を受け,TMSと脳波の同時測定を当該実験環境にて実施し,研究遂行に耐えうる測定・課題遂行環境が構築されたことを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は,研究遂行に必須である測定機器の導入,課題の作成,TMSとの同時使用による脳波データの検証,当該研究機関における倫理審査などの環境整備を中心として遂行した.予定していたパフォーマンス等の予備検討は研究遂行には及ばなかったものの,進捗状況としては想定していた範囲内であり,概ね順調に進行している.
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今後の研究の推進方策 |
環境整備が想定通りに進捗したことから,パフォーマンス・潜時同定に関する予備検討を24年度に実施する.その後,TMSと脳波の同時計測による検討を実施し,パフォーマンスと事象関連電位の変化からTMSによる影響検討を実施する.本研究で重要となるのはERN頂点潜時を考慮したTMSの実施である.したがって予備実験による潜時同定とパフォーマンス検討は予備実験終了後も,参加被験者を対象として複数年に渡って実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
測定に関する環境整備状況が順調に推移し,研究遂行に耐えうる測定・課題環境を構築した.したがって次年度は実験の遂行に応じ,測定環境の改善と調整,ならびにTMSの刺激部位ならびに強度決定に用いる機器の整備を計画している.また実験遂行に伴い,被験者への謝金を拠出する.この他の主な支出計画として,学会参加などを含めた情報収集の機会に伴う旅費等の拠出,ならびに成果発表に関する校閲等費用の拠出を計画している.
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