本研究は『予測-遂行-評価』の行動様式における各処理段階の機能連携について解明することを目的とした.本研究では特に予測と遂行機能に着目し,エラー誘発課題遂行下に遂行処理段階をTMSによって抑制し,成功と失敗に伴う予期-遂行-評価の処理過程とその機能連携について検討するものとした. 平成23年度は,本研究遂行で必要となるTMSと同時使用可能な脳波計測機器の導入,ならびに測定に伴う環境整備を実施した.また,本研究で用いる課題作成に取組んだ.これら進捗を受け,TMSと脳波の同時測定(TMS-EEG)を当該実験環境にて実施し,研究遂行に耐えうる測定・課題遂行環境が構築されたことを確認した. 平成24年度は,まず前年度確認したTMS-EEGが環境においてERP検討に耐えうることを確認した.次にTMS-EEG検討で使用する認知課題を用い,被験者25名を対象としたパフォーマンス検討を実施した.パフォーマンス検討の結果を受け,TMS頻度を決定し,5名を対象としたTMS-EEG予備実験を行った. 平成25年度は反応性エラー関連陰性電位(error related negativity; ERN),エラー関連陽性電位(error positivity; Pe )検討を目的として,被験者16名を対象としたTMS-EEG検討を実施した.尚,実験手法はこれまでの予備検討結果に基づいた測定環境・課題とし,TMS頻度と刺激タイミングはパフォーマンス課題によって得られたエラー率と反応時間から決定した.TMSによる認知処理への影響検討について,パフォーマンス指標は反応時間・エラー率,誤答後の反応時間・エラー率とし,生理指標はERN,Peとした. 以上の検討結果について更なる詳細検討を進め,最終的な成果報告をまとめ,学会・誌上等で発表するものとする.
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